ピースボートデッキ > COLUMN > 「で、ピースボート、どうだった?」地球一周を果たしたパッセンジャーが、本音を告白!~トラベルライターの世界一周 船旅日記~
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コラム
COLUMN Vol.14
2017/05/17
「で、ピースボート、どうだった?」地球一周を果たしたパッセンジャーが、本音を告白!~トラベルライターの世界一周 船旅日記~

 

「ピースボート」と口にすると、必ずといっていいほど返ってくる言葉が「ああ、あのよく居酒屋とかにポスターが貼ってあるやつね」です。これまでにのべ約60,000人の人々が乗船したピースボートクルーズですが、圧倒的多数の人々にとって、ピースボートのイメージは、“居酒屋ポスター”に留まっているのではないでしょうか。
そこで、2016年12月8日〜2017年3月22日、104日間という時間をかけて5万8184.284kmを航海したピースボート第93回クルーズの参加者に、「で、どうだった?」をインタビュー。リアルな実体験に基づく「それぞれのピースボートクルーズ」を語ってもらいました。

「友達をつくる喜びに目覚めた」 祭灯俊龍さん

まつりこと祭灯俊龍さんは、航空機の整備士の仕事を退職し、「この1年はとにかく海外に行きたい」という最初の旅にピースボートクルーズを選びました。やりたいこと基準でお金を稼ぐライフスタイルを目指すまつりにとっての104日間は、「仕事とかお金じゃなくて、人生の人間的な部分を豊かにする時間」でした。

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地球一周は、ピースボートを知る前からやりたかったことでした。世界には196の国があり、毎年5カ国ずつ行っても約40年かかります。それが、第93回クルーズでは3ヶ月半で16カ国。ショートカットだけど、夢を実現する第一歩を踏み出せました。
僕は船に乗るまで、自分から「会いたい」と思って会える親しい友達が1人ぐらいしかいませんでした。でも、たった3ヶ月半で「友達」と思える人がたくさんできて、幸せすぎて泣いちゃうぐらい。今までは、自分のことを一人で考えていたのに、船の上ではいつもまわりに友達がいて、一緒に考えてくれたんです。

 

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振り返ると、今までは「こういう人なんだ」ってわかってもらえないうちに離れちゃう人間関係が多くて、誰ともあまり親しくなれなかった気がします。それが、世界一周を共にするピースボートだから、深められた。友達ができる喜びに目覚めました。
共有スペースとかで、ただ椅子に座ってるだけで、隣に誰か来てくれて、何か話してくれるなんて超幸せ!
それから、心の底から「お姉ちゃんだ」と思える人が2人できました。なんでも相談できて、助けてくれて、遊んでくれて、話を聞いてくれる。お姉ちゃんがいたらいいなっていう思いがかなって嬉しいです。

 

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すごく好きな子もできました。一回ふられて、それでも仲よくて、「もう一回告白しよう」と思えるぐらい、今までの人生で一番、人を好きになった経験です。
僕にとってのピースボート第93回クルーズは、仕事とかお金じゃなくて、人生の人間的な部分を豊かにする時間だったと思います。
僕はもともと、常にお金のことを考えて、お金に駆り立てられているようなところがあったのですが、リオデジャネイロに着く前あたりで、ふと「あ!いま、自分はお金のことを忘れて生きてる」って気づいて。
すごく安らかな精神状態も経験しました。仕事をしていたときは、休みの日にふだんできないことを全部詰め込んで、いつも疲れていた気がします。でも、船では2、3日ぼーっとしてるだけの日もあったりして、本当に「休んでいる」感覚、すごく静かでフラットな精神状態を経験できました。
同じメンバーの中でじっくり人付き合いをして、友達をつくる喜びに目覚めてしまったので、ひとり旅はもう絶対したくないし、だからバックパッカーもそんなに。次の旅もピースボートで、行きたい国がいっぱいの第95回クルーズに乗りたいです。
❇︎まつりが書いた「息をのむほどに美しいブラジルの鳥たち@Parque das Aves 【ピースボートの旅ブログ】」も合わせてお読みください!

 

「自分の中にあった『好き』や『興味』に気づいた」金子真さん

かねごんこと金子真さん(23)は、大阪出身の関西人。大学進学を機に沖縄に移住し、帰国後は海でライフガードとして働きながら教師を目指すことを決めています。「将来、生徒にやりたいことをやれって言いたいけど、自分自身がしてないことに気づいた。」というかねごんは、大学2年生のときに本で知って書いていた「人生でやりたいこと100のリスト」の一番上にあった「世界一周」をしようと決めました。

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乗る前は、「ピースボートで世界一周しても、自分は何も変わらなかった」と言いたいと思っていました。
で、実際どうだったかというと、変わってはいないけど、乗る前よりも、自分のことが見えてきた感覚です。
船の上では、日々の行動を、まわりに流されるのではなく、「自分がやりたいこと」軸で選択するようにしました。自分のやりたいことリストの一番上にあった「世界一周」をしているんだから、船の上でもやりたいことをやろう、と。

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そういうふうに意識して過ごすようにしたら、自分が何をしてて楽しいかとか、今しかできないことってなんだろう、と自然に考えるようになって。
 
大学時代を振り返ると、友達と一緒にいることとか、みんなが参加するイベントに参加することを優先して、自分の好きなことが後回しになっていました。船では、一大イベントである運動会にも不参加。まわりの空気についていけていない不安もあったけど、振り返ると、まわりを気にしない過ごし方を貫いてよかったと思います。
取り組んだのは、ウクレレや落語、災害ボランティア。水先案内人のソーヤー海さんの水先案内人パートナーをして、(ソーヤー海さんが教えてくれた)瞑想にも目覚めました。
自分の中にあるって気づけた「好き」や「興味」をこれからの人生で育てていきたいと思います。
❇︎かねごんが書いた「人生初海外で世界一周!旅を終えた今、しとけばよかったと思うこと10【ピースボートの旅ブログ】」も合わせてお読みください!

 

「人と出会い、自分の内面を探る時間がもてた」草野夏希さん

なってぃこと草野夏希さんは、小学校の先生志望の22歳。オーストラリアへの語学留学で、ホームステイ先の家族のあり方から「それまで知らなかった幸せのかたち」を知りました。将来、子ども達が自分なりの幸せを見つけられるように導ける先生になるために、価値観や視野をもっと広げたい!とピースボートに乗船しました。

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自分たちが生きている世界について、少しでもたくさんの知識を得て、のちのち生徒に伝えられるようになったらいいな、という思いで乗船し、満足しています。乗らなかったら知れなかったことたくさんあるから。帰ってからもっと調べたいこともたくさん出てきて、ワクワクしています。その一方で、たった3ヶ月でこんなに知らないことに出会ってしまって、自分の無知を痛感。怖い気持ちにもなっています。
特に印象に残っているのは、ソウェトです。楽しさで言ったら離脱のほうが楽しかったし、やりがいだったら運動会の実行委員長のほうがやりがいはあったのに、どうしてだろう?と自分でも思います。
理由は、104日間で出会った人の中で、ソウェトの写真家ヴィクター・マトムさんに一番感じるものがあったから。これまでの人生でも、心の師匠と呼べる人はいるのですが、その人に対する「いいな、すごいな」とは次元の違うものを感じました。
ずっとニコニコしながら、「(アパルトヘイトの被害で)からだを銃弾が貫通した」とか、「耳が聞こえない」という話をしていて。同じ人間として「同じ立場になったときに、自分に同じ行動がとれるのか?」って問いかけてくれる存在でした。「世界には、こんな人間がいるんだ」って。

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他者との関わりの中で、自分の内面を探る時間がもてたことも大きかったです。
運動会で実行委員長をやったことで、若い人だけじゃなくてシニアの方々にも顔を覚えてもらいました。「きっといい先生になるよ」とか「向いてると思うよ」って言ってくれたのが意外で。自分ではまだまだ先生になるには足りないと思ってピースボートに乗ったのに、「わたしって大人からそういうふうに見えるんだ」って気づけた。他者からの評価が自分に返ってくるのは新鮮な経験でした。
また、船の上でできた仲良し3人組の1人に、人の心に入り込むのが上手な子がいて。しゃべり方とか、話の進め方が自分とは全然違うんです。比べると、わたしは冷酷でドライだな、と。わたしには親友がいなくて、いないことがコンプレックスだったけれど、その理由は自分が冷酷でドライだからじゃないかと感じました。

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その子といろいろな話をするうちに、「親友って思えるかも」って伝えたら、3人のうちのもう1人が「わたしも」って言ってくれました。生まれて初めて親友ができたかもって思って嬉しかったのと同時に、「もっと人の心の中に入り込めるようになりたい。先生になるにも、子どもの心に寄り添える人になりたい。」と目標ができました。
❇︎なってぃが書いた「元黒人居住区『ソウェト』で感じた、過去の痛みとつながる未来【ピースボートの旅ブログ】」も合わせてお読みください!

 

 

日常でのアイデンティティを棚上げして過ごすことで、自分でも見つけられていなかった新しい自分を見つけるきっかけに溢れていること。これは、旅がわたしたちに与えてくれる価値です。ピースボートクルーズは、そこに「同じ船に乗り合わせた固定メンバーで過ごす」という要素が加わることで、より一層深い変化を起こしてしまうのかもしれません。
今までに出会ってこなかった人や場所、出来事に出会い、良くも悪くも(笑)密に関わらざるを得ない閉じられた環境の中で過ごすことで、人は、あたらしい他者という鏡に映るあたらしい自分を見つけるのですね。

 

(取材・文/浅倉彩 写真/祭灯俊龍、草野夏希、金子真、浅倉彩)
PROFILE
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浅倉 彩(トラベルライター)
エディター、フォトライター、クリエイティブプランナー。東京と沖縄を拠点に世界で活動中。スローフードユースネットワーク東京共同代表。(株)TABIPPOとピースボートのコラボ企画「TRAVELERS BOAT」の船上編集長として、第93回クルーズに乗船。


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