コラム
2022/06/10
リバプールにバルセロナ……世界一周で訪れる寄港地のサッカーチーム
サッカーは世界で最もメジャーなスポーツのひとつ。世界各国でクラブリーグが行われ、ピースボートクルーズで訪れる先々にも多くのサッカーチームがあります。選手たちの着ているユニフォームは、ファンならばぜひ手に入れたい重要なアイテム。リバプールやバルセロナなど高度な戦術で知られるヨーロッパのビッグクラブはもちろんのこと、南米やオセアニアなど、日本ではなかなか見かけることのないユニフォームも、お土産として魅力的です。今回は、世界一周クルーズで訪れる寄港地をホームタウンとするクラブチームと、そのユニフォームをご紹介します!
まず最初にご紹介するのは、イギリス北部に位置する港湾都市・リバプールをホームタウンとする「リバプールFC」。イングランド・プレミアリーグの強豪で、ヨーロッパを代表するクラブチームのひとつでもあります。
リバプールFCのユニフォームは、濃い赤色とフェニックスのような鳥のエンブレムが目印になっています。「ライバー・バード」と呼ばれるこの鳥はリバプール市の名前の由来にもなっており、港のすぐ近くにあるロイヤルリバービルディングの屋上には、銅像が鎮座しています。地元市民の間では「ライバー・バードが飛び立つとリバプールの街は滅びる」という伝説が語り継がれているのだとか。
リバプールの街には、もうひとつサッカークラブがあります。それが「エバートンFC」。こちらのチームのユニフォームは、リバプールFCとは対照的に青色をしています。伝統的にライバル関係にある両者が激突する「マージ―サイド・ダービー」は、”プレミアリーグで最も危険な試合”といわれることも。ちなみに近年のダービーではリバプールFCに分があり、ここ10年間では実に無敗。しかし2021年2月の試合では、エバートンFCが2010年以来、23戦ぶりに勝利を飾りました。
続いてはイタリア南部の港湾都市・ナポリへ。世界有数の美食都市としても知られるこの街を本拠地とするのが、イタリア1部リーグ・セリエAに所属する「SSCナポリ」です。港町のナポリのクラブらしく、チームカラーは水色。2021年からはエンポリオ・アルマーニのデザインとなっています。
またSSCナポリは、80年代のスーパースター、ディエゴ・マラドーナが活躍したクラブとしても有名です。今でも彼の背番号だった10番は、永久欠番とされています。またマラドーナが2020年に逝去したことを受け、スタジアムの名称は「スタディオ・サン・パオロ」から「スタディオ・ディエゴ・アルマンド・マラドーナ」へと変更されました。
サグラダ・ファミリアやグエル公園に代表されるガウディの作品群を擁する芸術都市・バルセロナも、サッカーの街として有名です。この街を本拠地とするのが、高い戦術で有名な「FCバルセロナ」。青とえんじのツートーンカラーが印象的なユニフォームは、サッカーに興味がなくとも目にしたことがある方が多いのではないでしょうか。
名実ともにスペインのみならず世界最高峰のクラブで、ホームスタジアムそのものがバルセロナの観光名所になっているほど。欧州サッカーのファンなら、ぜひ訪れたいスポットです。
ちなみに、世界一有名なサッカー漫画「キャプテン翼」の主人公もクラブ公認でFCバルセロナに所属しています。FCバルセロナの一時代を築いたアルゼンチン代表のリオネル・メッシは、クラブに入団する際に「翼くんと同じチームに行ける!」と大喜びしたのだとか。
大西洋を越えて、南米大陸へ。アルゼンチンの首都ブエノスアイレス、ラ・ボカ地区をホームタウンとする「ボカ・ジュニアーズ」は、アルゼンチンのみならず南米を代表するクラブチームです。ボカ・ジュニアーズのチームカラーは青と黄色。実はこのカラーリングには、面白い背景があります。
元々クラブのユニフォームは青色のシャツと白いパンツでしたが、あるとき同じ配色のチームと「負けたチームは現在のユニフォーム使用を止める」という条件で試合を行います。そしてボカ・ジュニアーズはこの対戦に敗れ、新たなユニフォームのデザインが必要となってしまったのです。
当時のクラブ会長は、「明日の朝に、ボカの港に最初にやって来た船のカラーを新ユニフォームの色にする」と宣言。翌日、一番に現れたのは、スウェーデンの船でした。この船が青色と黄色の国旗をなびかせていたことから、ボカ・ジュニアーズのユニフォームもこの色になったのです。このカラーリングは、100年以上が経過した現在でも変わらぬチームの伝統となっています。
南米に続いては北アフリカのエジプトへ。船の寄港するポートサイドからバスに揺られ、首都のカイロへと向かいます。ここカイロを本拠地とするのは、1907年創立と100年以上の歴史を誇り、エジプトのみならずアフリカを代表する名門かつ強豪クラブ「アル・アハリSC」です。エジプト国内に留まらず、アラビア語圏全域で大きな人気を誇ります。クラブ名のアル・アハリとは、アラビア語で「国家の、国民の」という意味。チームカラーは当時のエジプトの国旗の色であった赤色です。これは、クラブがイギリス植民地時代にエジプト人のためのクラブとして設立されたことに由来しています。
アル・アハリのライバルチームは、同じカイロを本拠地とするアル・ザマレク。アル・アハリは庶民派のクラブで、アル・ザマレクは富裕層の支持が多いのだそう。
オーストラリアのスポーツといえばラグビーを思い浮かべる方が多いと思いますが、実はサッカーも高い人気を誇ります。国内プロリーグのAリーグにはこれまで数々の日本人選手も在籍しており、なかでもオーストラリア最大の街シドニーを本拠地とする「シドニーFC」は、2005-2006シーズンに日本サッカー界のレジェンド・三浦知良が在籍したことでも知られます。
シドニーFCのユニフォームはスカイブルー。これは、シドニーを州都とするニューサウスウェールズ州の州色を表す色です。またユニフォームをよく見ると、胸のロゴにはオペラハウスがデザインされています。2017年に新しく採用されたこのデザインは、クラブのサポーターたちが考案したもの。これは、スタジアムから見たオペラハウスの外観を表しているんだそうです。
東京23区とほぼ同じ面積ながら、サッカーのプロリーグがあるシンガポール。ヨーロッパや南米のように世界的な競合クラブがあるわけではありませんが、隣国のブルネイから越境して参加しているクラブがあったり、23歳以下のシンガポール代表チームがそのままリーグに参加していたりと、とってもユニークなんです。
また、シンガポール・プレミアリーグには外国人選手枠の制限がない(普通は自国の選手を優先して出場させるために制限がある)ため、完全に外国資本の外国人で構成されたクラブチームも存在します。それが、大半の選手を日本人が占める「アルビレックス新潟シンガポール(アルビレックス新潟はJリーグのチーム)」。多くの選手はアルビレックス新潟シンガポールに移籍後、東南アジアを中心に現地のプロチームに入るなど、日本人選手の海外挑戦の窓口のひとつにもなっているのだとか。
とはいえ、シンガポールでサッカーはメジャーなスポーツではあるものの、人気なのは同国のリーグではなくイングランドのプレミアリーグなのだそう。
ピースボートの世界一周クルーズで訪れる寄港地をホームとするサッカークラブの数々をご紹介してきましたが、いかがでしたか。サッカーの盛んな地域に旅行に出かける際は、その土地に根差したクラブをチェックしてみると旅が深まるかもしれません。ぜひ皆さんも、世界一周に出かけた際はサッカーのユニフォームにも注目してみてくださいね。
(文/岡田哲 写真/PEACEBOAT、松田咲香、Katsuta Airi)