ビースボートの船旅であちこち迷走したHinataの旅物語、「Peace on the Boat trip」。
笑いありハプニングあり、ちょっと不思議でほんわか緩まるHinataワールドへようこそ。
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骸骨とダンスを!死を受け入れ笑い飛ばすような生き方
私たちがメキシコに到着する時はちょうど、「死者の日」というメキシコ流のお盆に近い頃だった。
着飾った骸骨女性のカトリーナっていう有名なキャラクターがいるくらい、メキシコのお盆はとてもカラフルでどこかユーモアが感じられるような、そんなちょっとしたイベント的なものだった…と、最初はそう感じていたんだっけ。今思うとメキシコを出る頃になるまであまり分かっていなかった私。いつの間にか気づけばどっぷりと浸かり込んでしまっていたんだ、メキシコという国の持つその生と死の空間に。
船がメキシコに着く前に、船内では「死者の日」のイベントが実施されていた。どんな内容かっていうと、メキシコ人の水先案内人パブロ・ロモさん(※)が、祭壇を用意して船内でも一番大きな広間にそれを飾ったんだ。この日はメキシコのお盆の最終日でもあって、飾った祭壇はもちろん本物。
※パブロ・ロモ…メキシコ生まれ。哲学、神学を学び、スペインの大学で人権の分野で博士号を取得。紛争予防のためのグローバルパートナーシップ(GPPAC)北アメリカ地域運営メンバー。
メキシコの死生観は独特なものがある。「全ての人に必ずやってくる死というもの、それに触れることで人生をよりよく生きる心構えをしよう!」そういう前向きなコンセプトでメキシコで行われているというこのお祭り。死を笑い飛ばしてしまえと言わんばかりに、ポップで色鮮やかな祭壇は何やら楽しげにそこに存在していた。
船内のみんなにも呼びかけて祭壇に「死者」を祀って、お菓子やビールや死者の好物などを飾った。私も亡くなった数多くの友人たちの為に花を飾った。そうするともちろん帰ってくるよね、そこに。
私はメキシコ的なポップさあまりに、「これはイベントなんだ」ってぐらいに軽く思い込んでいたから、どこかちゃんとした意識で接しきれていなかったんだ。後で思うと、そこから何かが始まっていた気がする。