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【インタビュー】五十嵐 恭雄さん&今澤 徹男さん「旅で見つけた私の生き方」
2005年まで続いていた恋愛バラエティ番組「あいのり」に出演していた「嵐」こと五十嵐恭雄さんと「ヒデ」こと今澤徹男さん。番組が終わった後も世界を旅していたという2人。あれから12年経った今、2017年春ショートクルーズに相乗りした2人にお話を伺いました。

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二人が知り合った恋愛バラエティ番組「あいのり」

――「あいのり」とは、どのような番組だったのですか?
 
 ピンクのワゴンに乗って、男4人、女3人の男女7人で旅して地球一周をしながらカルチャーを学んで成長していきます。そして、好きな人を見つけて帰るというのがこの旅のゴールです。

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僕とヒデは同じ人を好きになって、同じ人に告白をすることになるんです。それこそ、船の上の皆さんと一緒ですよ。船で仲良くなった友達、親友になれると思った友達が、急に恋のライバルになるわけです。でも、やっぱり恋愛は人を成長させますよね。

 

――今まで旅をしてきた国について教えてください。

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ヒデ 僕はアフリカ、中東、ヨーロッパを旅しました。当時の僕の洋服には、よくパッチワークが施されているんです。なぜかというと、そのときにはすでに1年旅していたんですよ。だから服がボロボロで、当時持っていたジーパンのポケットを取って縫っていたんです。おしゃれをするのにお金もないですし。そんな貧乏旅行をしていました。

 

あいのりを終えて、今まで

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――あいのりを終えてからも、旅をしていたのですか?
 
 あいのりで初めて行ったのがエジプトだったんですけど、それが初めての海外で。それまで旅とか海外とか全く興味がなかったんですけど、すっかりはまってしまって。それから一人旅をするようになりました。
 
――旅をする前と後では気持ちの変化はありますか?
 
 毎回そうなんですけど、入国するとき、最初は恐いなという不安な気持ちでいっぱいなんです。それでも、現地の人とふれ合ったり、笑顔を見たりすることで、またひとつ強くなって帰ってくる自分がいます。
 
――旅に、現地の人との出会いはつきものですね。
 
 僕も英語も現地の言語もそこまで話せないんですけど、やっぱり「おはよう」「こんにちは」といった簡単な挨拶を知ってくれているだけで、すごく喜んでくれるんです。改めて「人と出会うこと」というのは大事だなと思いましたね。

 

実際に現地に行くと、身近なニュースも真面目に考えることになる

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――ヒデさんは今までの旅で印象に残っているところはありますか?
 
ヒデ 僕はオマーンに行ったことがあるんですけど、それこそテロがあったときだったので、ものすごく恐かったんです。だけど、現地に行くと、みんなものすごくやさしいんですよね。オマーンの人はドアを開けっぱなしで外に出るんですけど、なぜかを聞くと、あえて開けるんだ、人を疑うことはしないんだという話を聞いて、ああ、なんて素敵な国なんだと。日本にいると、メディアの情報も大事なんですが、やっぱり自分の目で見て体験するというのは重要ですよね。

 
 

旅が今の仕事にもつながっている

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――今はどんなお仕事をされているのですか?
 
 フォトグラファーをやっています。あいのりで旅をするまでは、たまに写真を撮るくらいだったんです。だけどそのときの写真を見返すと、そのときの気持ちまで一緒に思い出したり、見せる人の気持ちを動かしたり、すごくいいものだなって思って。そこから写真を仕事にしたいなと思って、大学を卒業してアシスタントになり、独立して、今に至ります。
 
――どんな写真を撮るんですか?
 
 モデルさんを撮ることもあれば、物撮りをすることもあって、いろいろです。そして旅の経験が、今の仕事でも本当に生きています。なぜなら旅で撮る写真っていうのは一秒一秒変わっていくんですよ。その中でシャッターを押すっていうのは、一瞬を逃さないという意味で、今の仕事にもつながっているなと。仕事だと、こう撮らなくてはだめというのがあるので、そこに当てはめていくような写真しか撮らなくなっていくんです。だけど旅のときは一番向上心を持って、自分が撮りたいように撮れるんですよね。

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――ヒデさんは今なにをやられているのですか?
 
ヒデ 僕は雑貨屋をやっています。小物はもちろん、Tシャツのデザインもしています。
 
――雑貨屋を開くことになったきっかけは?
 
ヒデ あいのりの後、ケニアのスワヒリ語学校に留学していたのですが、そこに暮らす動物たちに魅了されて。人間も動物の一つなんだと思えるような場所だったんです。その延長で、アフリカの小物を使った店をやりたいと思うようになったんです。ですので、店の名前は、マサイ族から名前を取って「マサイマーケット」というんです。外国人やいろんな都道府県の方に来て頂きたいので、原宿に店を構えています。
 
――もともとデザインや服飾も好きだったんですか?
 
ヒデ そうですね、もともと好きです。特にあいのりは恋の旅だから、おしゃれしないとモテない。だからズボンの生地を切ってここに貼ればおしゃれかなとか、そのとき常に工夫していた経験が、今につながっています。

 

数日間乗ってみて感じるピースボート

――実際にピースボートに乗ってみていかがですか?
 
 レストランもありますし、キャビンで映画も見れますし、デッキでは身体も動かせる。例えるなら、一つの街が動いている感じですよね。僕はフレスコボールというブラジルのビーチスポーツのアンバサダーをやっているのですが、実際に乗船者の方と体験会をやってみたんです。みなさん上手だったんですが、やっぱりスポーツをやると距離が縮まりますよね。

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ヒデ それでいうと、僕は「名刺交換よりパス交換」という言葉を大事にしているんです。ラリーをしていて距離を縮めるのもそうですし、別府では乗船している方と温泉に入って裸の付き合いをしました。距離というのは本当に大事だなというように思います。

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――あいのりとは違う、ピースボートの船旅の魅力はどんなところでしょうか?
 
 この船には、旅が好きだったり、明確な目的があったり、同じ意志を持った人が集まっています。その分、絆も強くて、自分もきっと親友になれると思う人たちとたくさん出会えたんです。乗船しているのはシニアの方々も多く、普段生活していると会えないような人生の先輩たちの話を聞けたことも本当に良かったです。聞いてみると、乗っている人はみんな出身もバラバラ。下船したらみんなのところを巡るという旅もいいなと思いましたよね。あっという間でしたが、本当に濃い時間でした。
 
ヒデ 船の上というのは、日本でもなく海外でもなく、不思議な場所だと思うんですよね。そのときに日本では思わなかったようなこととか、想像することって、たくさんあると思うんです。一人になる時間もあるし、集団行動が苦手でもいい。それでも船は目的地に向かっているんです。そしてピースボートだと、みんなも近くにいる。だからどんな人でも充実した時間を作りやすいですよね。実際に話してみると、本当にいろんな人がいる。あいのりの旅を通してもそうでしたが、旅の中では、やはり「こうだ」と決めつけるよりも吸収していく姿が大事だなと改めて感じました。

 

(取材/鈴木隆之 編集・写真/山下祥)