File no.4
高木優華さん 19歳
19歳の高木さん。少し前まで高校生だったというから驚きだ。進路を検討する際にすでにピースボートへの乗船を決めていたという。一体その行動力はどこから来るのだろうか。
もともと発展途上国との国際交流に興味があり、海外ボランティアをしてみたいと思っていたところ、ピースボートのウェブサイトへたどり着いたとのこと。とはいえ、99万円という金額は高校生にしてみれば大金だ。
説明会で、ボランティアスタッフとして参加すれば安く乗船できるというシステムがあるということを知った高木さんは、乗船を決意。高校卒業後は資金集めのため契約社員とピースボートのボランティアスタッフとして休みなく働いた。とはいえ、ご両親の反対はなかったのだろうか。
「特に反対などはなかったですね。父親が若い頃バックパッカーをしていて、船ならかえって安心だと言われました」高木さんのお父さんはアメリカで留学経験もあり、その費用もご自身で貯めたお金から拠出したのだそうだ。高木さんの決意と乗船費用を稼ぐために働く姿を見て、自分の若い頃の姿と重なった部分もあったのかもしれない。
そんな決断力のある印象の高木さんだが、このまま大学へ進学した方が良いのではないか、進学してきちんと就職して父親を安心させるべきではないだろうか、と思い悩んだ時期もあったようだ。
人と同じではなく、自分にしかできないことをやろう、と思うことができたのは優等生タイプのお姉さんの存在も大きかったのかもしれない、と高木さんは慎重に言葉を選びながら話す。
テレビで見たり聞いたりするだけでなく、実際に自分で体験したい。好奇心が強く、何でもやってみたいという高木さんにとってはまさにピースボートはうってつけの場であったのだろう。個性的な人々が集まるピースボートは日々学びの連続。船上ならではのゆったりとした時間と仲間がいるからこそ、学び、実際に体験したことを話し、母国語で意見交換できるのはバックパッカーの旅ではおそらく出来ないこと。
幼い頃、地球儀を回しながら行きたい国を数えたら45カ国あったと話す高木さん。彼女にしかできない仕事を引き下げて、世界中を飛び回る日はそう遠くないかもしれない。
(文/大門美奈 写真/大門美奈、片岡和志(船体写真))