足が勝手にそちらを向くときは、何かに引き寄せられていることが多いんだ。これは私の過去の経験上の話ね、全ての人に当てはまるかは別としてさ。それにはいい時と悪い時の2パターンがあって。神様を祭っている神聖な場所にたどり着くこともあれば、お墓だらけの場所に迷い込んだりもする。
とにかく、目に見えない存在からの「招待」だ。霊感というものとの付き合い方を少しづつ学んできた私は、こういう時は「気持ちがいいか悪いか」で判断するようにしてきたんだ。気持ちがいい気がする方面には行ってみるけど、とにかく気持ちの悪いような、不安を感じる雰囲気だと近寄らない。
原則としてそれを守ってきたんだけど、体調不良だったりすでに自分に何かが「有る」ような時には、その判断が相当鈍るんだ。つまり正確な判断が全くできないってこと。
だから足はかってに引っ張られて途中まで行くこと3回。よっぽどのお誘いだけど、これが素敵なお誘いかどうかは、今の私では判断ができないので無理やり引き戻すことにした。お墓が悪いって言っているんじゃあないよ、だけど私は何もしてあげられないからさ、申し訳ないけど。そういうのはプロの人に任せたほうが安心だし、その方がちゃんと成仏できたりするからいいんだ。私は何にもしてあげられない。
メキシコはこの時期、たくさんの人が帰ってくるんだろうね。昼間は気がつかなかったけど、街の広場には大きな祭壇が3つほど並んでいた。メキシコの人々は死者との絆を大切にしている、それが強ければ強いほど死者たちはここに帰って来やすくなるだろう。これがもし仮に「イベント」的にやっていたものだとしても、飾ってある中身は「本物」なんだよね。
これが形だけのものなのであれば、いくら形作ってもそこに何かが宿るわけもない。彼らが昔から大切にし続けてきた関わりだからこそ、「死者の日」はリアルなものとしてメキシコに存在し続けているんだろうね。