メキシコは白い建物が結構多い。この太陽の強さからすると相当な反射だと思うんだけど、他の国のようにカラフルな建物だらけという感じではなかったメキシコ。だけど真っ白な世界しかないかというとそうでもなく、全体のイメージとしてカラフルだった記憶が何故かあるのが不思議。
多分メキシコの人々の存在が、白い世界を感じさせないほどに色を発しているんだろうね。心底カラフルな彼らの存在は、街中に濃厚でずっしりとした華やかさをもたらしていたんだ。
寄港地の写真はとりあえず全て撮っておきたい、それが今回の世界一周の旅の自分的ミッション。これを本にして出すにも写真が必要だし、街を身体で感じたいしね。ただこの日は実は、前日から続く冷や汗や吐き気があって私はかなりの絶不調だったんだ。
白い壁に反射する強烈な太陽の光、うだるような暑さにその絶不調な感じも相まって、空間がぼやけてくるかのような白昼夢感が否めない。はぁ、ここでもか。思い出せばお盆ってよくこうなるんだよね、私。だってメキシコが思った以上に…
いや、自分の管理不足だよなと思い直す。自分の弱さにうんざりしながらもとにかくシャッターを押し続け、何かに引き寄せられるように街の奥へと進んでいく。そして街へ出てから1時間ぐらい意識朦朧としたまま彷徨い歩いた後、もう完全にギブアップ、一度船に帰ったほうがいいと判断した。
その後、何時間か睡眠をとって体調は少し回復。陽が傾き始めた頃にもう一度街へとチャレンジしてみる。賑やかな街を歩いているとまたさっきと同じように意識が朦朧としてきた。そして何故かまた、足が今朝と同じ方向へと向いている。頭はボーッとしてあまり考えられないで歩いている状態だけど、何故か行かない方がいいとどこかで抑制をかけようとしている自分がいる。私が行こうとしている場所には、一体何があるんだろう。