サントリーニ島には興味深い話がある。この周辺一帯は、過去に火山が噴火して文明が滅びた場所ということもあって、実はアトランティス大陸だったのではないかと言われている地域なんだ。
近くのネア・カメニ島は今でも活火山として活動していて、あったかもしれないその頃の名残のようなものを漂わせている。サントリーニ島の静けさとは対極にあるようなそんなメア・カメ二島との存在の対比が面白い。オールド・ポートから少し離れた沖に停泊していた私たちの船に戻る時、小さなボートでこの活火山のすぐそばを通ったんだ。灰色の煙がモクモクと上がる大地が今でも生きているのを感じたよ。
そして。世界を旅する中で、最高すぎてこれ以上のものはないだろうって、そう思えるような瞬間が何度かあったんだけどさ。そのうちのひとつが、船から見たサントリーニ島の夜景と満月。
夜のサントリーニ島を照らす、小さく集まった光のひとつひとつがキラキラ輝いて美しい。少し離れた海の上から見るその光景の精錬された輝きにうっとりとしてまどろんでいたら、街明かりから少し離れた右側の丘向こうから、黄金の大きな大きな満月がゆっくりと登って来たんだ。
その神々しさは息を飲むほどで、街の光りをも照らすかのように輝きながら辺り一帯を包み込んでいた。
サントリーニ島。数多く回った世界の寄港地の中でも、またもう一度来たいと願った場所のひとつだ。次回は更にロマンチックであることを心から期待しつつ、月明かりが照らす島をいつまでもずっと眺めていたんだ。