イタリアのシチリア島を中心に撮影されていたその映画だけど、出てくるシーンの場面が所々サントリーニ島の雰囲気とどこか似ていて、自分の中で勝手にシンクロしてしまう。シチリアはどっちかっていうと、この後訪れるマルタ島の方がすぐ近所ではあるけれども、地中海の島々はどこか似た雰囲気を漂わせているんだ。
自分が映画で見たような空間に行った時に、独特の空気感に包み込まれるっていうか…初めて来たって気がしなくて、どこか懐かしい様な、ここを知っているっていう感覚になれるのが嬉しい。あの映画もこんな風景の中で展開される物語だったからこそ、切ない心情が際立って美しく描き上げられていたんだろうなって、ここに来てそう実感したよ。
イアの街の雰囲気を心ゆくまで堪能するべく、小さなカフェにも入ってみた。ちょっとした小部屋のような小さなカフェには、5人も座ればいっぱいになるようなカウンターと壁際に3つ程のテーブル席。奥の大きく開いた窓の席に座るとそこにもまた、窓枠いっぱいの紺碧の世界が広がっていた。
海を常に体全体で感じながら一日を快適に過ごせるなんて。しかもこの完璧なロケーションだよ。光も、風も、光輝く海面も、美味しい料理も…
浅いローストのグリークコーヒーを注文して待つ。ギリシャのコーヒーは入れ方が独特らしい。アテネのお土産屋さんでたまに、コップ一杯ほどの大きさの可愛い小鍋を見かけて気になってたんだけどさ、その銅製の小鍋にコーヒー豆と水、砂糖を入れてそのまま沸かしたのがグリークコーヒーなんだって。
豆の挽きが細かいのが特徴らしいんだけど、飲み終わる頃にカップにコーヒーの粉が模様のように残っていて、それを見て占いをする「コーヒー占い」っていうのがあるらしい。コミュニケーションのひとつで遊びのようなものだろうけど、そこに流れている時間を想像するとほんわかするよね。