駅を出てすぐ、あっと驚く光景が広がっていた。お土産屋さんが立ち並ぶ道のずっと向こうに見える丘の上、そこにそびえ立つ数本の柱…あれはまさにそう、パルテノン神殿だ。賑わう街からすぐ近くにあるなんてやっぱり少し違和感だけど、間違いなくあれは大昔からここにある物なんだ。何故だろうか、その存在に出会えたことを感慨深く感じている自分がいる。
お土産屋さんに気を取られつつ歩いていたら、レストランの前にいた店員さんに捕まってメニューを見せられた。ゆっくり神殿を見るためにも、とりあえずは腹ごしらえかな。
食べたいと思っていたメニューがそこにあったから「これが食べたい」と指差して言うと、中に案内されたのでおとなしくテーブルについた。そういえば朝からコーヒーしか飲んでいなかったなぁと思いつつ、すぐに運ばれてきた付け添えのフランスパンをかじりながら、空腹にギリシャビールをゴクリと流し込む。
そうして入店から、気がつけばもう1時間近くが過ぎようとしていた。ギリシャのレストランは出すのが遅いからイライラしないで、それも国民性の違いと思って楽しむようにと船内で言われていたもんだから、遅いと思い続けていても根気よく待ってみようと思ってたけど…
さすがに1時間はやばいよね、観光する時間も限られてる。店はすいているし、大して忙しいようでもないんだけど。ネットの情報収集にも飽きてそろそろ声をかけようかと思っていた頃、店員さんが来てサラッと一言。「注文って、聞いてたかな?」おっと~、今のタイミングでその言葉ですか!言ったよ最初に店頭で、だからビールも持ってきたんでしょ?友人とふたり、唖然としながらも軽くブーイング。
店員さんは慣れているのか、ごめんごめんと爽やかに笑いながら、サービスにビールを持ってきて許してもらおうという作戦に取ってでた。ビールはもういらないけどデザートで手を打ってとりあえず和解。国際的裁判は、山羊のヨーグルトにて平和的解決となったのであった。