ケープタウンは、一日の中に四季があるって言われるくらいに、気温や天気が一気に変わりやすい場所なんだって。風も、ものすごい強風が突然に吹いたりするらしい。そういうのを聞くと大自然の圧倒的な力を感じるというか、見た目がどんなに西洋風でも、ここはアフリカなんだなってそう思えるよ。
どれだけ文明が発達していてもどうにもできない部分、気温や風や、そういったものを畏怖する感覚を、しっかりと持ち合わせながら生きていくことができるかどうか…コンクリートの建物の中に逃げ込めばどんな寒さや風がきても大丈夫。だけどそれは自分自身の防御力ではないんだよね。
そんな事実を私たちが知っているかどうかは、生存本能を保てるかどうかにも関わってくるような気がするんだ。たぶん今の私たちの生存本能は、低いと思う。何かに任せすぎてる部分があるよね、自分のいのちを。
アフリカの大地は時折厳しい表情を見せるかもしれないけど、それは私たちの生き残る力を磨いてくれる愛情なのかも知れないね。そんな厳しさに対抗していく生き方もあれば、受け入れて共存するという生き方もある。何にせよそれに向き合うのが、自分自身の力であるのかどうかを問うことが大切なのかもって、テーブルマウンテンを見ながらそう思ったよ。
「あなたは世界をどう見てるの?」目の前の聖なる山を見上げ、心の中で問いかけてみる。テーブルマウンテンの存在はニュートラルだ。ただただ長い時の流れを見守っている。
人はやって来て、いつかはいなくなる。人の様々な想いも作ったものも、やがては朽ちてどこかへ消えていく。そのようなものだよと、いつものように雲をスルリと滑らせながらテーブルマウンテンは、私にそう言ったんだ。