窓の外には美しい茶畑が、途切れ途切れに現れては消えてゆく。モーリシャスの特徴と言えば、色んな宗教施設があちこちにあること。何もなさそうな山奥の小高い場所に入り込んでいくと、突如驚くほどの数の施設が目の前に現れたのには驚いた。街中でもここにもある、ここにも…ってな感じでヒンドゥーのお寺、中国のお寺、キリスト寺院、イスラムのモスクなどが近くに混在していて面白い。
人々が祈っている姿があちこちに見かけられるんだけど、これだけ神様が混在している中でその祈り方も様々なスタイルでさ。だけどスタイルは違えど祈る姿から感じるものは同じで、共通して皆、凛としていて美しいんだよね。そこに集う様々な人たちの祈る姿をなにげなく眺めているうちに、神との対話は時として自分との対話でもあるのかもと感じたんだ。自分が何を求め、何に感謝をし、どう生きていきたいのか…祈るうちにそうやって見えてくるものがどこかあるような気がして。だから、少しでも祈りの時間を持つのは有意義なことだと、そう思えたよ。
中国の寺院は古い雰囲気で、とにかく赤一色だった。そこに黄色と、モーリシャスらしく椰子の木のグリーンが映えていてさ。敷地内を見ていると裏庭が何やらザワザワと騒がしい雰囲気。何なにどうしたの~?と行ってみるとそこには何と大きなゾウガメが!のっそりとお庭をお散歩しているよ。
どうやらモーリシャスには野生のゾウガメが生息しているらしいんだ。ならばこれってノラ猫ならぬノラ亀か?亀は万年っていうけどこの子は何歳くらいなんだろう、この寺院と共にずっとここで時間を経ているのかなぁ。ゾウガメってガラパゴス諸島辺りにしかいない希少なイメージだったけど…バッタリここで会えるなんてホント嬉しい、まさかの出会いだったよ。
この後は、負の遺産でもある「アープラヴァシ・ガート」を見学した。世界遺産には、悲しい歴史を持った負の遺産っていうのもあってさ。ここは過去、契約移民でインドからの何十万人もの移民を受け入れた場所。移民と言うと聞こえはいいけど、実際には刑務所のような場所に詰め込まれここで生活を余儀なくされた…そういった場所なんだそうだ。色んな歴史の元にある今。過去を知ることは今を知ることに繋がる、大切なことでもあるよね。
街中をバスで移動してモスクに到着。モスクを見学した後、外に出たらちょうど真ん前に小さな食べもの屋台が一軒あってさ。この食べ物ってどんな味なんだろうって思いながら、興味津々に眺めてたら屋台のおじさんが声かけてきてくれて。どうぞって、その食べ物を紙に包んで私にくれたんだ。あわててお金を払おうとしたらにっこり笑顔で「あげるよ」って。ええっ、なんで?私そんなに物欲しそうにしてたかしら。そしたら「みんな仲良くするのがいいんだ、だからプレゼントするよ」って。