ピースボートが横浜を出港してちょうど40日後の5月22日の月曜日。
フランス・ノルマンディー地方の最大の港と呼ばれているル・アーブル港を後にしたオーシャンドリーム号は、次の寄港地ルーアンへと向かうため、パリから大西洋へと流れゆくセーヌ川を上って行きました。
フランス・ノルマンディー地方の最大の港と呼ばれているル・アーブル港を後にしたオーシャンドリーム号は、次の寄港地ルーアンへと向かうため、パリから大西洋へと流れゆくセーヌ川を上って行きました。
寒さを忘れるほどの朝日
朝5時50分、操舵室よりセーヌ川遊覧開始のアナウンスととも目が覚めた私は、防寒用のジャケットを片手に、セーヌ川遊覧のために特別に開けられた7階の前方デッキへと急いで向かいました。
デッキへと続く扉を開けた瞬間、フランスの朝の冷たい空気が身体をつんっと突き刺します。ジャケットを着ているとは言え、寝起きの私には寒すぎる気温。
でも、そんな寒さも忘れさせるほどの輝く光を放つ朝日が、東の空から「おはよう」と顔を覗かせていました。ノルマンディー地方の緑豊かな大地から登る太陽は、眩しいけれどいつまでも眺めていたいほど。
でも、そんな寒さも忘れさせるほどの輝く光を放つ朝日が、東の空から「おはよう」と顔を覗かせていました。ノルマンディー地方の緑豊かな大地から登る太陽は、眩しいけれどいつまでも眺めていたいほど。
太陽がどんどん暗かった空を明るくして行きました。
アーティストが生まれるのがわかるほどの自然の美しさ
寒さを忘れていたとは言え身体が冷え切ってしまった私は、軽く朝食を済ませ、もう少し厚着をしてまた外へ。
外に出て目に入るのは、どこまでも続くフランスの自然豊かな大地でした。ほのかに香る緑の香りが、どことなく朝の心を落ち着かせてくれます。
オーシャンドリーム号が航行しているノルマンディー地方は19世紀後半、風景の一瞬の輝きを写し取った印象派(※)絵画が生み出されました。
※印象派……19世紀後半、フランスで起こった革新的な芸術運動
もしかしたら一度は名前を聞いたことがあるかもしれないルノワールやモネなどの、かの有名な画家たちがこの地で多くの風景画を生み出しています。
緑豊かなセーヌ川の風景に彼らはきっと感性を刺激され、キャンバスに筆を動かしたくなったのではないでしょうか。
緑豊かなセーヌ川の風景に彼らはきっと感性を刺激され、キャンバスに筆を動かしたくなったのではないでしょうか。
何かを表現したい気持ちは私の中にもうずうずと湧いてきました。
とは言え、絵を描く、ということは私にはハードルが高かったので、代わりに地球1周目で一緒だった友人宛にポストカードを書くことに。前日に訪れたフランスのオンフルールでみつけたお気に入りのポストカードに、オーシャンドリーム号がセーヌ川を航行中であること、そして、目の前には緑豊かなフランスの大地が広がっていることを書いていったのでした。
感じたことを絵に書いたり、文字に書いたりと、何かに表現したくなる衝動を、きっとこの風景は与えてくれるのでしょう。
朝9時半からのワインとオープンサンド
ピースボート初のセーヌ川遊覧とあって、特別にオーシャンドリーム号8階の後方デッキにテーブルや椅子が並べられ、ワインとオープンサンドの販売が行われました。
なんとワインは10種類の中から選べ、グラスワイン二つと、サーモンとチーズの2種類のオープンサンドのセットで1,000円と、まあまあお手頃の価格。
少し肌寒いけれど、せっかくの機会だからワインとオープンサンドを友達とシェアすることにしました。ワインはスパークリングワインと白ワインを選択。この時、まだなんと朝の9時30分。美しいセーヌ川の風景を眺めながら、朝から頂くワインはなんと言っても格別です!人生に二度とないかもしれない、この至福のひと時がすぐに過ぎ去ってしまうのがもったいなく感じられ、オープンサンドもワインも一口ずつゆっくりと食べました。
ピアニストによるアコーディオン演奏を楽しむ
ワインとオープンサンドをゆっくり頂いていると、オーシャンドリーム号専属のピアニスト、アレックスによるアコーディオン演奏が始まりました。
フランスの地にあった楽曲をセレクトしてくれ、中には私が日本にいる時からよく聞いていたエディット・ピアフの「愛の讃歌」や、多くの人が一度は聴いたことがあるであろう「オー・シャンゼリゼ」などを演奏してくれました。心も弾み、気づくと私も一緒に口ずさんでいました。
美味しいワインに生演奏、そして船からみえる美しいフランスの風景。
何とも言えない優雅な贅沢なひと時を味わいながら、思い存分セーヌ川遊覧を堪能しました。
垣間見える人々の営み
船から見える景色には、美しい緑だけでなく、人々の暮らしもありました。セーヌ川のほとりに見える家々は日本でみる家の作りとは異なり、まるでおとぎ話に出てくるような可愛らしいデザインのものが多く見られました。
ピースボートのような客船が通るのが珍しいのか、家の外に出てきて手を振ってくれる人たちの姿も。
こうした光景に出会うたびに、この地にも昔から続く人々の暮らしがあり、家庭があり、そして、それぞれの現在があるのだと感じ、ここにある人々の営みが何だかとても尊く感じられたのでした。
船旅だからこそ……
人生でセーヌ川を遊覧できる日がくるなんて、夢にも思ってなかった私。
そこで見つけたものは、フランスの自然豊かな緑だけではなく、何かを表現したくなるようなワクワクした自分の感性と、その地に住む人々の営みの尊さでした。
きっと、ゆっくりと進んでゆくピースボートの船旅だからこそ感じ、得られたものなのかもしれませんね。
そこで見つけたものは、フランスの自然豊かな緑だけではなく、何かを表現したくなるようなワクワクした自分の感性と、その地に住む人々の営みの尊さでした。
きっと、ゆっくりと進んでゆくピースボートの船旅だからこそ感じ、得られたものなのかもしれませんね。
(取材・文・写真/原田ゆみ)