『唐突ですが、お腹がすいたらどうしますか?
お母さんにご飯の支度をしてもらう、自分で買い物に行って料理をする、コンビニに行く、外食をする…等、たくさんの選択肢があると思います。では、これは果たして当たり前のことなのでしょうか?』
お母さんにご飯の支度をしてもらう、自分で買い物に行って料理をする、コンビニに行く、外食をする…等、たくさんの選択肢があると思います。では、これは果たして当たり前のことなのでしょうか?』
そう話してくれたのは、世界と日本の豊かさを学ぶ為に乗船を決めた、「アイリ」こと向坂愛理さん(24)。
人を幸せにしたい、元気にしたいという理由で理学療法士の仕事を行い、日頃から人のお役に立つことを意識しているアイリ。そんな彼女がピースボート水先案内人企画にて、WFP元アジア地域局長の忍足謙朗(おしだり・けんろう)さんの講義を洋上で受け、インタビューに踏み切った。世界の食糧事情を目の当たりにし、彼女は何を思うのか。
【Travelers Boatとは?】
ピースボート95回クルーズ!涙が出る程に美しい奇跡的なオーロラの景色を見ることができる104日間の世界一周の船旅。「Peace Boat Deck/ピースボートデッキ」では、世界一周団体「TABIPPO」と「ピースボート」によるコラボ船上プログラム「Travelers Boat」のメンバーが「ブログ、SNS」を通して実際に世界に足を運び肌で感じたありのままの様子をお伝えします。
みなさんこんにちは!ピースボート乗船中のアイリです。
多様な価値観が飛び交う現代社会。今日は、お腹がすいていても「ご飯が食べられる」という選択肢を与えられていない世界についてお話したいと思います。
多様な価値観が飛び交う現代社会。今日は、お腹がすいていても「ご飯が食べられる」という選択肢を与えられていない世界についてお話したいと思います。
8億人。300万人。1,000日。この3つの数字を見て、皆さんは何を思い浮かべますか?
これらはすべて「食」に関わる数字です。国連世界食糧計画(World Food Program:WFP)元アジア地域局長の忍足謙朗さんはこう言いました。
「これは、静かなる緊急事態」だと――。
世界の9人に1人はお腹をすかせている
8億人。この世界の“8億人”は、1日のうちに十分な食事が摂れていません。これは9人に1人の割合です。そして、1年間で“300万人”もの5歳未満の子どもが栄養失調で亡くなっています。しかしこの現状は中々メディアに取り上げられず、報道されません。この異常事態を忍足さんは「静かなる緊急事態」と表現しました。こうして生活している今も、世界中でご飯を食べることができないために十分な栄養を摂取することができず、大きくなれなかった子どもたちの命が消えていっているのです。
新しい命が母親のお腹に宿り、その子がこの世に生を受けてから2歳までが約“1,000日”と言われています。この期間に母子ともに十分な栄養が摂れないと、免疫が弱く成人病等の病気にかかりやすくなったり、発達不足になったりする可能性が増大します。
決して世界中の食糧が足りていない訳ではありません。では、どうしてこのような現実が起こるのでしょうか?
貧困地域に栄養を、WFPの活動
今も世界各地で紛争が行われ、数多くの命が失われています。内戦で危険が多い国、すなわち紛争地では農業などを営むことが困難な状況です。また、街中ではマーケットなどに食糧があっても、収入が少なく食糧を購入できない人たちがいます。そういった人たちの支えになっているのが、忍足さんが活動しているWFPによる“食糧支援”です。
WFPでは、貧困地域や難民キャンプに食糧支援を行っています。その中で忍足さんは、自らの足で現地に出向き、現地の人々の声に耳を傾け、支援活動を行っています。
豊かなる国ニッポン。今私たちにできることは?
WFPは、1年間に300万トンもの食糧支援を行っています。貧困地域ではこの食糧が重宝され、彼らの命綱となっています。一方、日本では1年間にこの倍の600万トンの食糧が捨てられています。残飯やゴミになったものではありません。「まだ食べられる」食糧です。皆さんはこの現実をどう受け止めますか?形が悪い、傷がついた、このままだと売れないから……、食糧を捨てる理由はたくさんあると思います。しかし世界の現実をもう一度考えてみてください。自分にとっての当たり前は世界にとっては当たり前なのでしょうか?
今日もWFPの活動によって救われる命があります。まずは「知ること」から始める。一人でも多くの人に知ってほしい。その先に私たちには一体何ができるのでしょうか?
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(取材・文/向坂愛理 撮影/©WFP/Joachim Groder 編集/忍足謙朗、渡会和馬)