ピースボートデッキ > COLUMN > カフェ経営者23歳の女の子がベネズエラで感じたこと【ピースボートの旅ブログ】
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レポート
REPORT Vol.046
2017/09/14
カフェ経営者23歳の女の子がベネズエラで感じたこと【ピースボートの旅ブログ】

 

ピースボート第94回クルーズは、北欧を周りながら地球一周する105日間の船旅。「ピースボートの旅ブログ」では、世界一周団体TABIPPOとピースボートのコラボ船上プログラム「TRAVELERS BOAT」のメンバーが、寄港地や船旅の様子を感じたままにお伝えします。
今回ブログを更新してくれたのは、船内では「のの」や「のんちゃん」とみんなに親しまれている熊本県出身の上妻野乃花さん(23)。

地元、熊本県玉名郡和水町で家族でカフェを営んでいる彼女は幼い頃から家族で海外旅行に行ったり、一人で留学に行った経験もあるようです。そして今回、船で旅をすること、知らない人と一緒に旅をする事に興味が湧き「行ってみたい」と素直に思ったことがピースボートに乗船した大きな理由です。

洋上運動会の実行委員長を務めるなど積極的な一面も持つのんちゃん。ベネズエラではピースボートのオプショナルツアーに参加して自分の大切にしたいこと、自分の生き方について振り返ったようです。

彼女のこれまでのライフストーリーとともに、ベネズエラで気づいたことを綴ってくれました。

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ベネズエラの話の前に、ちょっと私についてお話を・・・

はじめまして。トラベラーズボートの上妻野乃花です。
私は、彫刻家の父と、旅とクリエイティブなことが好きな母の元に生まれ、小さい頃から熊本県玉名群和水町という自然豊かな田舎で育ちました。父の影響や自然の中で育ったこともあり、自分の中にあるものを表現して生きたいと思うようになっていました。
3才で包丁を持ちはじめ、台所に立つことが多かった私は気づけば料理が大好きになっていました。いつしか料理で自分を表現したいと思うようになり、料理を勉強する高校へ通い、卒業後は福岡の専門学校でフレンチを勉強しました。しかし、実際にお店で働きはじめて気づいた自分の抱いていた理想と現実のギャップと、仕事の忙しさにより自分を見失い心と体のバランスが保てなくなってしまいました。それからは、料理はもうしない、したくないと思うようになり、実家に戻り一年ほどバイトをしながら生活する日々を送っていた2014年の5月頃。父が300年前の古民家を借りたいと言い出し、最初は父が自分の作品を置きたいと言っていたのですが、思い切って家族でギャラリーも併設したカフェ「kinon cafe&arts(kinon)」をオープンさせました。

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母がお店をプロデュース、父がギャラリーの展示や店内のテーブルと椅子やお皿などを作り、私がお菓子と料理を担当する。といった家族でできる範囲のカフェです。
ただ、私のこだわりとして、お客さまに出すものは口に入れて安心安全で食べられるものを提供しています。こだわりを持った生産者から食材を買い、地元で取れた野菜、卵、牛乳、小麦粉を使った料理をお客さまに食べてもらう。ひとつひとつ丁寧に作り、それを喜んで下さるお客さまが沢山いることが私の何よりの喜びです。おかげで、もう一度料理を好きになることができ、やりがいを感じて毎日を過ごしています。

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「kinon」は、緑に囲まれ穏やかに時間が流れ、四季を毎日感じる事の出来る場所です。こうした日々を送っている私だからこそ、ベネズエラで参加したツアーでは、どこか心に響くものがありました・・・

そんな私がベネズエラに行ってきた

さて、次はベネズエラの紹介です。ベネズエラは西半球最大の炭酸水素資源(石油とガス)を有していて、人口が約3,000万ほどの国です。日本とは全く違う文化持ち、スペイン語が公用語です。英語もほとんど通じません(私は英語もほとんど喋れませんが。笑)。現在は貧困層の増加、デモの多発など、不安定な状況が続いています。そんな「治安がいい」とは決して言えない場所に行くことは、私にとって不安の一つでした。ピースボートからも一人で行動することは控えるように言われていたため、私もオプショナルツアーに参加する事にしました。

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沢山ツアーがある中で、私は「ベネズエラで考える地球に優しいライフスタイル」というオプショナルツアーに参加しました。なぜこのツアーにしたのかというと、「ベネズエラの人々が考えるライフスタイルってどんなのだろう?この不安定な社会の中で彼らはどんな事を考えるんだろう?」と疑問に思ったからです。それに、私自身が毎日お店で行なっている安心で安全な食べ物の提供を続けるため、自然の中で暮らす私が大切にしたいと思う環境を守っていくための、新たな気づきや感じることがあるかもしれないと思ったからです。

ベネズエラで見てきたこと1:にっこりと笑顔を返してくれる人々
まず初めに私たちは集合住宅のマンションで暮らす人々の所にお邪魔しました。そこでは、貧しい子どもたちのために国から支給された食材を使ってボランティアの人たちが料理を作り、子どもたちに食事を提供していました。7棟あるマンションのうち1棟に子どもたちに提供する為のキッチンが5ヶ所ほどあります。

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子どもたちはお皿を持ってご飯をもらいに来て家族の所で食べるそうです。だいたい、生後3ヵ月~17才までの子どもがご飯をもらう事が出来ます。キッチンの見学や、ガイドさんのお話を聞いている私達に興味深々の子どもたちが沢山集まってきました。

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彼らは目が合うと必ずにっこり笑いかけてくれます。もちろん大人の方達も私たちににっこりと微笑んでくれました。
ベネズエラで見てきたこと2:『平和へと繋がる弾を作る』植林活動

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今回、このツアーに協力してくれた「ミシオンアルボル 」と言う団体があります。彼らは植林エリアを増やし、動物保護、環境保護、都市部近くに緑を増やす事を目標に活動しています。一緒に写真と撮った彼女は団体メンバーの一人。私たちのツアーを担当してくれました。

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彼女は私たちをミシオンアルボルの活動場所へと連れて行ってくれ、そこで一緒に泥だんご作りをしました。

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実はこの泥どんご、ただの泥だんごではありません。中に植物の種と虫避け用のハーブを入れて作られているのです。子どもも大人も一緒になって、泥と粘土を混ぜての作業を楽しみました。

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こうして作った泥だんごを、人が入ることが出来ない崖に向かって投げます。こうすることでベネズエラに緑を増やす活動になるんですね。
そして、私たちが作業しているところになんと町長さんが来てくれました!とてもきれいで若くて強い女性という印象の町長さんは、私達にこう話してくれました。

『権力を持つ人間がダメージを与える為の爆弾を作っています。だけどここにいる私達は、子ども達の未来へ、平和へと繋がる弾を作りました。』

この一言に、彼女の平和への思いや未来に向けての希望を強く感じました。

ベネズエラで見てきたこと3:街の真ん中の有機農園~自給自足の生活~
有機野菜がたっぷり入ったランチを頂いた私たちは、次に街の真ん中にある有機野菜を作っている農園に向かいました。

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高い建物が並ぶ街中の一画にあるこの有機農園では果物や野菜、ハーブなどを育ててマーケットで販売し、その収益で新たに種や苗を買いながら、育てる食物の種類を少しずつ増やしているようです。

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私たちも、土に触れながらウコンやバジルの種を植えるお手伝いをしました。「自分たちが食べるものは、自分たちで作る」という自給自足の意識がとても高く感じられたひと時でした。

ベネズエラの土、人、自然が私に教えてくれたこと

ツアーを終えて船に帰ってきた時、自分の心がとても満たされ浄化されたような気がしました。うまく言葉に出来ない、でもとても穏やかな気持ちが船に戻ってからも消えることはありませんでした。と同時に、私がこれまでやってきたこと、これからやろうとしていること、そして日本で暮らす中で自分に問いかけていた「何を選択し、何を食べて生きていこうか?」という疑問の答えを、ここベネズエラで少し感じる事が出来たような気がします。

私たちを温かく出迎え、私たちの訪問を喜んでくれたベネズエラの人々。彼らから感じることは、「自分達で国を作っていこう」という未来への希望でした。

それはきっと、ベネズエラの土や、人や、自然が私に気づかせてくれたのかもしれません。

(取材・文・写真/上妻野乃花 写真提供・編集/原田ゆみ)

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