ピースボートデッキ > COLUMN > 絶対にまた会いに行く!アフリカ・モザンビークで運命の出会い【ピースボートの旅ブログ】
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レポート
REPORT Vol.024
2017/04/15
絶対にまた会いに行く!アフリカ・モザンビークで運命の出会い【ピースボートの旅ブログ】

 

ピースボート第93回クルーズは、南半球を船でめぐった世界一周の旅。本シリーズ「ピースボートの旅ブログ」では、仲間とともに船上生活や寄港地トリップを楽しんだパッセンジャーが、世界に飛び込み、自分の目で見て、こころで感じたあれこれを綴ります。
まゆ こと小林茉優(まゆ)さんは、フィリピンへの留学やセブ島への語学留学、カンボジアへの2度の個人旅行、ピースボートが韓国のNPO「環境財団」と共催する「PEACE&GREEN BOAT」を経験。それらとともに「人生でやりたいことリスト」に挙げていたピースボートでの世界一周旅行に、大学を休学して挑戦しました。
そんなまゆは、アフリカ・モザンビークで運命的な出会いを経験したようです。

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モザンビークで出会った、絶対にまた会いたい人

その人の名前はBossKika。23歳の男の子。彼は内戦で父親と母親と姉を失った。残されたのは自分と弟。すごくすごく進学して学びたかったけれど、学校に行けるような状況ではないし、お金もなかった。だから自分と弟が生きるため、学校に行くのを諦めて塗装の仕事を始めた。
内戦で家族を失い、学校にも行けず、生きるために働く。
私と全く違う生い立ち、バックグラウンドを持ったBossKika。そんな彼が今私の隣にいて他愛もない話をしていることが私はなんだか不思議な感覚だった。
彼は今まで私が見たことのなかったような目をしていた。その目で一体どんなものを見てきたんだろう、戦争のない時代の日本に生まれ、自分の両親も生きていて、そんな私に想像できるものなんてちっぽけなんだろうなって思った。
そんな彼には夢がある。それは仲間とバンドを組んで演奏すること。音楽が大好きだと言っていた。私はその時ふと「バンドと言えばONE OK LOCK」と思い付いた。だから私の携帯に入っていたワンオクのライブ映像やPVの動画を二人で聞いた。彼はものすごく気に入ってくれた。「こういうことをするのが夢だ」といってくれたその姿がすごくうれしかった。
私が乗船したピースボーと第93回クルーズの出港曲になっている「Today my life begins」というブルーノ・マーズの曲がある。「これまで辛いことがたくさんあった。痛みだけが友達なんじゃないかと思っていた。この心の痛みは治ることがないんじゃないかと思っていた。でもそんな過去を置いて自分を縛る鎖を断ち切り、幸せを手にいれよう。今日、私の人生が始まるんだ」といった内容の歌詞だ。
この曲はピースボートに乗る前から知っていて、私にとってとても思い入れのある曲だった。だから彼にも聞いてみてほしかった。
自分のお気に入りの一曲なんだと伝え、一緒にその曲を聴いた。すると「This song is good message」と言ってくれ、彼の目に涙が浮かんでいた。
私には想像ができないほどの痛みや寂しさを抱えて23年間生きてきた彼と私自身が、同じ感情を共有できたことがうれしかった。世界にはどんなにバックグラウンドが違くても通じ合える心がある。そう実感し、私も彼と一緒に涙を流した。

What's your happiness?

私はフィリピン留学での経験をきっかけに一年ほど前から「幸せってなんなんだろう?」と考えるようになった。そして悩んで迷って最終的に私なりに見つけた答えは「幸せはその人の心が決める」というシンプルな結論だ。だったら「いろんな人の、その人なりの幸せを知りたい」と思った。だから私は海外に行ったときや日本国内で海外の人と関わる際によく聞く質問がある。それが「What’s your happiness?」“あなたにとっての幸せは何ですか?”という質問だ。
質問を続けていると本当に人によって感じる幸せがそれぞれで、同じ答えを聞くことがなくて面白かった。そして彼にもまた同じ質問をしてみた。
英語ができる友達が、わたしとBossKikaの橋渡しになってくれた

英語ができる友達が、わたしとBossKikaの橋渡しになってくれた

彼の答えは「ADPPが自分を受け入れてくれたこと」。ADPPとはその日ピースボートの交流ツアーで訪問したモザンビークのNGOである。ここでは内戦で親を失った子どもたちに教育と食を提供している。その団体の存在が自分の人生を救ってくれたと彼は話していた。
ピースボートの訪問ツアーで訪れたADPPで、たまたまごはんを食べに来ていたBossKikaと出会えた

ピースボートの訪問ツアーで訪れたADPPで、たまたまごはんを食べに来ていたBossKikaと出会えた

彼と過ごした時間はたったの3時間程度。それでもほんとうに濃い時間だった。
二人で家族の話、自国の話、夢の話、いろんな話をした。二人で笑ったり、泣いたり、たくさんの感情を共有した。

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彼は通話専用の携帯しか持ってなくて、Facabookもやっていないしメールもできない。
今日バイバイしたら次いつ会えるのかもわからないし、彼の近況も知る術はない。
でも彼がしきりに言っていたのは「日本に連れていってほしい」「また会いに来てほしい」といった言葉だった。

facebookもメールもしない彼から届いた手紙

彼と会った日から数日後、わたしはピースボートのスタッフから一枚の紙を受け取った。船内ツアーで訪れたある男の子から預かったと聞き、その紙を開いてみたら、その紙はなんとBossKikaからの手紙だった。それに気づいたとき私は本当にびっくりして本当に嬉しかった。

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ピースボートでは交流ツアーで訪問するNGO団体の人たちを船内ツアーに招待することがある。わたしがオーバランドツアーで船にいない間に彼が手紙を持って船に来てくれたのだ。せっかく彼が船に来ていたのにタイミングが合わず会えなかったことを思うとすごく残念で切ないが、彼は手紙の内容はとても温かいものだった。
“I just whant say I love you so much”(たぶん言いたかったのはwant to say)

“ I’m waiting you for take me to Japan”

“Kisses for you I will wait”

彼の母国語はポルトガル語だったためとてもつたない英語だったが、少しのシンプルな単語から彼の気持ちが十分伝わってきた。
TABIPPOが出版している、死ぬまでにやりたい100のことリストを書きこむ「BucketList」という手帳がある。私はピースボートに乗る前からその手帳を愛用し、乗りながら叶ったものもいくつかある。そのリストの42番目に「BossKikaと再会する」と付け加えた。

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リストにすでに書いてあった「会いたい人に会いに行く旅をする」とき、必ずモザンビークへ行き、彼にもう一度会いに行こうと決めた。
(取材・写真・文/小林茉優 編集/浅倉彩)

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