まもなくキューバに到着する第92回クルーズからはじまった、世界一周団体TABIPPOとピースボートのコラボ船上プログラム「TRAVELERS BOAT」。一般乗船者でもあるトラベルライターが、フレッシュな旅のレポートをお届けします。旅の最中にしか書けない「リアルパッセンジャーレポート」をどうぞご覧ください!
リアルパッセンジャーレポート第4回を書いてくれたななちゃん こと安田菜々恵さんは、埼玉県生まれの25歳。高校卒業後、バレエダンサーとして4年間舞台に立っていました。引退後、憧れだったウェディングプランナーになってたくさんの結婚式を手がけ、ひとつの夢を叶えたあと、将来のことを考えて退職。「いつかは今だと思った」と、世界一周の旅に飛び出しました。船の上では、「とにかく好奇心の赴くままに、好きなことをしています。朝起きて好きなところでご飯を食べて様々な講座を受けて、夕日を眺めて、みんなで飲んで…たくさん友達もできました。」と、特別な旅の日々を自然体でクルージング中。ダンサーの血が騒ぎ、サルサダンス、フランダンス、社交ダンス、太極舞など、ダンスの講座を片っ端から受けているそうです。
そんなななちゃんが届けてくれたのは、社交ダンスを教わった先生へのインタビューです。人生の、そしてダンサーとしての大先輩から受け取った言葉とは?
社交ダンスで人生が変わる人もいる
ピースボートの船内には、カルチャースクール(通称カルスク) と呼ばれる様々なレッスンがあります。ヨガや社交ダンス、サルサダンス、太極拳、 ノルディックウォーク、水彩画教室などがあり、 すべて無料にもかかわらず、プロフェッショナルな先生から継続して教わることができます。
私が生まれて初めての社交ダンスを教わっているのが、後藤京子先生。先生はなぜ、旅をしながらダンスを教えていらっしゃるのか?お話を聞いてみたくて、インタビューさせて いただきました。
先生のピースボートクルーズは、今回で6回目。初回はパッセンジャーとして乗船し、「自主企画」と呼ばれる、自ら手を挙げて人を集めるかたちで社交ダンスレッスンをしたそうです。これが好評だったことから、2回目以降はピースボートから依頼を受けたり、 自ら希望したタイミングで乗船。継続的に、カルチャースクールの先生をされています。
日本では、地元の 公民館などで主に年配のかた向けのクラスを持っているそう。先生ご自身は、結婚して子供を育ててから社交ダンスを始め、 競技選手として20年技を磨いた後、 教える道を選びました。
ピースボートのカルチャースクールで教え続ける理由を尋ねると、「地元のクラスでは、年配のかたの生涯学習として、 余生が楽しくなればと思って教えています。ピースボートクルーズは若い人も多いので、若いうちから ダンスの楽しさを知って、人生を豊かにしてほしいと感じます。」と語ってくださいました。
「先生、 社交ダンスで人生が変わりました!!と言われたこともあって、 そういう変化がこの船にある」とのこと。日本で日常生活を送っていたら、恥ずかしくて絶対にやらないけれど、 船の上だったらできる、と挑戦する若者も多いそうです。
たしかに、社交ダンスというと比較的年配のかたが楽しまれるイメージがありますが 、船の上では、老若男女関係なく参加して盛り上がっています。私自身も、踊る機会が多い船上生活で、 音楽が流れたときにサラッと踊ることができたらかっこいいと思い、以前からやってみたかったこともあって、毎回楽しく練習しています。社交ダンスにはさまざまなリズムがあり、すべてをマスターするのは大変。でも、先生が基本からとても丁寧に教えてくださるので、 初心者でも踊る楽しさを味わえるのです。
音が聞こえたら体が動くのが人間の本能
私が踊ってきたクラシックバレエとも多くの共通点があると感じましたが、 社交ダンスはペアで踊るため、 コミュニケーションをとりながら楽しむ感覚が新鮮です。レッスンの時間以外にも経験者のかたにコツを教えていた だいたり、もっと社交ダンスを知りたい! と引き込まれています。
先生は 「音楽が聞こえたら身体が動くのは本能で、 身体を動かす事はすごく楽しいこと。 船を降りると仕事が始まったりして続けられない人も多いけど、 また落ち着いたときに思い出してもらえたら」 と熱い思いを持っています。その思いが参加者に伝わったのか、何回もピースボートに乗船している社交ダンス愛好家のかたがたが同好会を結成しています。とても上手なかたが沢山いらっしゃっるのには驚き!
若者の中には、何回も乗船する人自体がほとんどいません。でも、たとえ船を降りた後続けることがなかったとしても、 多くの若者に踊りの楽しさが伝わっていることは間違いないと思います。
船内ではみんなが思い思いに好きなことをして過ごしますが、 先生は麻雀をしているところをよく見かけます。そのことを伝 えると「麻雀は82回クルーズのときに初めて覚えて、 それからずっと続けてます」とお茶目に話し、船内生活を満喫されているようでした。
日常から切り離された船の上は、新しいことにチャレンジするのにとてもいい場なのかもしれま せん。
今後について伺うと、「またカルチャースクールの先生に応募してみたいですね。 いつも信念を持っていたら、きっとできます。 人生、この年からでも想いは実ってきますよ」情熱があふれる言葉が返ってきました。
こんな素敵な先生に教えていただけるカルチャースクール は、ピースボートクルーズならでは。寄港地以外の部分でも、とても貴重な経験をしています。
(取材・文/安田菜々恵 編集/浅倉彩 写真提供/安田菜々恵)