まもなくニューヨークに到着する第92回クルーズからはじまった、世界一周団体TABIPPOとピースボートのコラボ船上プログラム「TRAVELERS BOAT」。一般乗船者でもあるトラベルライターが、フレッシュな旅のレポートをお届けします。旅の最中にしか書けない「リアルパッセンジャーレポート」をどうぞご覧ください!
リアルパッセンジャーレポート第3回を書いてくれたはらちゃん こと原田ゆみさんは、大阪生まれ大阪育ちの28歳。高校2年生の時にニュージーランドへ1年間留学したことがきっかけで海外に興味を持ち始め、就職後もロンドン、カンボジア、インド等、定期的に旅をしながら生きてきました。6年半のOL生活の後、関西ベースLCCの客室乗務員に転職。29歳になる今年、「自分の人生このままでいいのか」と悩みの壁にぶつかっている時、ピースボートセンターにて行われたトークイベントに参加したことが全ての始まりでした。このトークイベントがきっかけで、「もっと色んな人、世界、価値観に触れたい」と心の中の声に気づき、会社を退職して乗船を決意。旅に出るなら自分の感じたことを沢山の人に発信していきたいと、第1回パッセンジャーズレポートでは、「ジャグリングの世界チャンピオンからもらった忘れたくない言葉たち」と題して、"水先案内人"ちゃんへん.さんのインタビュー記事を送ってくれました。
今回、はらちゃんは地中海に浮かぶマルタ島を浴衣で散策する、という遊びゴコロたっぷりのチャレンジを敢行したもよう。はたして、どんな旅になったのでしょうか?
浴衣×馬車=アイドル気分
9月19日、ピースボートはマルタ共和国の首都ヴァレッタに着岸。マルタ共和国はその昔、いくつもの民族からの侵略を受け、1965年ごろにトルコ軍からの侵略「大包囲戦」に勝利した後、聖ヨハネ(マルタ)騎士団により礎が築かれた歴史ある国です。そして、ヴァレッタは当時の面影を残す要塞都市。騎士団の守護聖人、ヨハネに捧げられた聖ヨハネ大聖堂や、 現在では大統領府と議会が置かれている騎士団長の宮殿など、歴史が感じられる見どころの多い街を、私たちは浴衣を着て散策してみました!
なるべく荷物を減らしたい普通の旅に、浴衣を持っていく人は少ないと思います。でも、ピースボートは船上にて夏祭りもあるし、着ないときはお部屋に置いておけるので、多くの人が浴衣を持っている!だからこそ、 今回は女子5人で浴衣でお出かけすることしたのです。
船を降りて街を出た瞬間から、道行く人々の視線が私たちに集中!異国の地では浴衣は珍しく、かなり目立っていたのでしょう。
ヴァレッタの街は石畳が多いので、下駄では歩きにくいと考えた私たちは、まず馬車に乗って街を約1時間ほど散策することに。馬車が動き出すと、遠くからも色んなの人にカメラを向けられるし、すれ違う人々や車に乗る人々からは手まで振ってもらい、ちょっとしたアイドル気分でした。馬車は中心地周辺を走り抜け、やがて海を眺望できる「Siege Bell Memorial」へ。ここでも他の国からの観光客の方に声をかけられ、一緒に写真撮影。日本の浴衣を知ってもらう機会を自ら作れて嬉しくなりました。
馬車を降りたあとは、歩いて街をめぐりました。歴史ある厳かな街並みに浴衣ってとってもシュール(笑)どう見てもマルタの街と浴衣はミスマッチでした。
立ち止まって写真を撮っていると、道行く人々から次から次へと「一緒に写真を撮らせて」と声をかけられ、一時は街の中心地で私たちのまわりに人だかりができてしまいました。
聖ヨハネ大聖堂で息を飲む
ご飯を食べ、ひと段落した後、見どころの一つである聖ヨハネ大聖堂へ。
一歩足を踏み入れた瞬間、一見簡素な外観からは想像できない豪華絢爛な装飾に圧倒され、息を飲みました。見上げれば天井一面、壁一面に壁画が描かれ、当時の騎士団の力の大きさを感じました。入場料10ユーロで、日本語の音声ガイドつき。隅々までたっぷり見て回ることができるので、かなりオススメです。ヴァレッタを訪れる際には、ぜひ行ってみてくださいね。
大聖堂を出た私たちは、真正面にあったフルーツスムージー屋さんで喉を潤し、タクシーを拾って25分ほどの距離にあるイムディーナという街へ。イムディーナはマルタ本島のほぼ中央部にあり、街の名前はアラビア語で「城壁の町」の意味。空堀と城壁に包まれた街は「サイレントシティー」とも呼ばれています。その名の通り、メイン・ゲートを通ると静けさが広がっていて、街の中の建物からもどこか冷たい印象を受けました。でも、街で出会う人々はとても優しく、ここでも浴衣が珍しがられて沢山話しかけてもらいました。
この時点ですでに夕方5時ごろ。船への帰船時間が迫っていた私たちは、ほんの1時間しか滞在できませんでしたが、街の空気感は存分に味わうことができました。
これで、私たちのマルタ共和国の旅は終わりです。
浴衣を着ていただけで、何人の見知らぬ人に「一緒に写真を撮ろう」と言われたか思い出せないほど沢山の人と写真を撮り、お話をした1日。
デニムやTシャツで観光をしていたら、まず話しかけてもらうこともないでしょう。浴衣を着ているだけで、子供も若者もご年配の方も、 年齢や国籍にかかわらずコミュニケーションが生まれることが、こんなにも嬉しいとは!自然と笑顔がこぼれる旅になりました。
浴衣を着ての寄港地めぐりは、ピースボートならではの旅の楽しみ方の一つかもしれませんね。
浴衣で散策して思ったことまとめ
・浴衣を着ているだけで沢山の人が話しかけてきてくれる。
・沢山の人が写真を撮ろうって言ってくれる。
・「どうして着ているの?」と聞かれる。
・「着物」と間違えられる。着物の認知度の高さを知った。浴衣はあまり知られていない。
・浴衣はもっとカジュアルな装いで、夏に着るものであると説明した。
・浴衣で1日歩いても実はあまりしんどくない。
・まるでアイドルのように囲まれる。
・ピースボートのパッセンジャーの方々にも写真って言われる。日本人から拍手が出た。
・おばあちゃん、おじいちゃんに、日本の装いで旅するなんてすごいって言ってもらえた。
・街とのギャップ、違和感は半端ない。笑
(取材・文/原田ゆみ 編集/浅倉彩 写真提供/原田ゆみ)