現在ニューヨークへ向けて航行中の第92回クルーズからはじまった、世界一周団体TABIPPOとピースボートのコラボ船上プログラム「TRAVELERS BOAT」。一般乗船者でもあるトラベルライターが、フレッシュな旅のレポートをお届けします。旅の最中にしか書けない「リアルパッセンジャーレポート」をどうぞご覧ください!
今回レポートを届けてくれたパッセンジャーは、クロちゃんこと黒崎浩司さん(25)。約3年間、美容師として働いていたクロちゃんは、スタイリストに昇格した後、美容師を一生の仕事にする決断をするかどうかを考えたそうです。その結果、一度美容師の道を離れてアパレル会社に転職。ところがいまいち仕事に没頭できず、「やりたい仕事がないならプライベートでやりたかった世界一周を先にしよう!」と日本を飛び出しました。
綺麗な風景や物が好きで、体を鍛えるのも好きというクロちゃんは、ピースボートクルーズでジム(無料)に通ったり社交ダンス(無料)を頑張っているとのこと。TABIPPOの記事では、世界一周中に腹筋が割れる(未定)までの経緯が読めるかもしれません。「プールとジャグジーが各3箇所づつあり、毎日がバカンスのようです。みんなでお酒を呑んだり船内でできた友達と語り合ったりしています。」と、マイペースに旅を楽しむクロちゃんが恵まれた船上での出会いは、同じ職種の先輩にあたるひとりの女性のようで。100人いれば100通りの生き方があることを感じさせてくれる、クロちゃんのメッセージをお届けします。
世界で活躍するメイクアップスペシャリスト
PEACE BOAT CRUISEでは1000人もの乗船者が3か月間、時を共にする。
僕はその1000人の中で、メイクアップス ペシャリストのCeCeさんという女性に出会った。
僕はその1000人の中で、メイクアップス
CeCeさんは東京で生まれ育ち、現在はメイクアップスペシャリストとして仕事をされている女性だ。2004年出航の第47回クルーズに1度乗船されており、今回で2度目となる世界一周は4歳になる息子の朝日君との二人旅だ。
僕自身も美容系の仕事をしていたので、興味が湧いた。
そこで、同じ職種で後輩にあたる立場の僕が、夢を叶えた先輩からダイレクトに聞かせていただいた、CeCeさんの人生と仕事と旅の話を、みなさんとシェアしたいと思います。
そこで、同じ職種で後輩にあたる立場の僕が、夢を叶えた先輩からダイレクトに聞かせていただいた、CeCeさんの人生と仕事と旅の話を、みなさんとシェアしたいと思います。
CeCeさんは小さい頃、母親の体が弱かったため、人形遊びを教えてもらうなどして家の中で過ごすことがほとんどだったそうだ。人形をかわいくすることから始まり、いつしか美容に関わることが彼女の愛情表現になっていった。人形の髪で遊んでいるうちに手先が器用になり、のちに友達からもヘアアレンジを頼まれるようになったことがきっかけで、ヘアメイクの道を志すことになる。
人が喜んでくれる事が自分の幸せに繋がると感じるようになったのも、この時期からだったという。美容系の専門学校に通いながら、アルバイトでもメイクのアシスタントを務め、イベントなどで無償でヘアメイクをするなど、学校もプライベートもヘアメイク一色の学生時代だったとCeCeさんは振り返る。
毎日毎日ヘアメイクのことばかりを考える日々は、就職後も続く。専門学校を卒業後2年目にして独立。ファッション誌、 PRなどの仕事で成果を出し続けた。
その選択と努力が実を結び、パリコレクションにてクリスチャン・ディオールを担当。メイクの世界的巨匠バット・ マグラス氏の下で、ジョン・ガリアーノなど超一流のオートクチュールファッションショーのメイクに携わるまでにな る。現在は、月に1度NYと日本を行き来する生活をされている。
CeCeさんは、ご自身が大切にしている仕事での信念を僕に話してくれた。
一般的にはメイクアップアーティストと名乗るところを、彼女はあえて、メイクアップス ペシャリストと名乗っている。
これは、メイクアップアーティストだと、自分自身の作品をつくるアート性が強く前面に出てしまうから。彼女は、自己表現よりも、メイクを施す女性の心に寄り添って仕事がしたいという強い気持ちから、メイクアップスペシャリストという呼び名を選んだ。
メイクアップスペシャリストと名乗り始めたCeCeさんに、運命の出会いが訪れる。近藤麻理恵さんとの仕事だ。
近藤麻理恵さんは、シリーズ世界600万部突破、「The New York Times」No.1ベストセラーとなった「
僕は思う。がむしゃらにヘアメイクという仕事に向き合った結果が、働き始めて2年目にして独立という夢と自信がないと できない選択に繋がり、世界で活躍する今という結果にも結びついたんだと。
努力と選択の繰り返し。あたりまえの話だけど、1つの事を諦めずに突き進む勇気が大切なんだと改めて
自分の息子の目を通して、もう一度世界を見る旅
船内では、眉ケア講習や「旅で変わった6人の人生」という船内イベントに参加するなど、自身の技術や経験を周りの人にアウトプットする活動もおこなっている。そんな姿を見ていると、彼女が世の中にはいろんな仕事があること、仕事を通じて人に喜びを感じてもらうことができることを、周りの人にも 知ってほしいと思う気持ちが伝わってきた。
芸達者祭という隠し芸を披露する船内イベントでは、息子の朝日君と獅子舞を披露するなど、アクティブで力強い表現者というイメージが強いCeCeさん。
音に合わせた2人の踊りは、親が子に愛を与えている姿にしか見えなかった。
朝日くんも、4歳の子供が踊っているとは思えないほどクオリティーの高いパフォーマンスで会場にいる400人ほどの観客を驚かせた。大きな拍手とカメラのフラッシュの中、最後に見せた2人の笑顔を見た時は、CeCeさんという生命力に溢
彼女が2度目の乗船を決意した理由を訊くと、こんな答えが返ってきた。
4歳の子供を育てている今、自分の息子の目を通してもう1度世界を見たい。
息子の発言、顔の表情、体の動きを見ていると、新しい感覚で世界を見られる。
息子の目を通すと、世界が再び鮮度を取り戻すの。
船には、様々な人生を歩んできた人達がいる。もし、今人生に悩んでいる人がいるなら、3か月間、試しに乗ってみると、生きていくヒントになるような、いい出会いがあるかもしれないと思う。
終わり。
(取材・文/黒崎浩司 編集/浅倉彩 写真提供/黒崎浩司、CeCe 写真/ダニー)