船旅を通じて平和を築く国際交流NGO「ピースボート」の船が、約3年ぶりに地球一周の旅へと出発しました! 2023年4月7日に横浜港、8日に神戸港から出発したピースボート第114回クルーズは、108日間をかけて、世界の17カ国、22の寄港地を訪れます。道中では金環皆既日食や、北極での白夜も体験できるのだとか。待望の出航式をレポートします。
雨上がりの横浜港に響く「行ってきます」の声
今回ピースボートで出発するのは最年少1歳から、最年長は97歳まで、約1,400人。地球一周の旅の仲間を乗せたパシフィックワールド号が港に圧巻の姿を見せています。その船体は77,441トンと、これまでのピースボートの船と比べても、群を抜く大きさ!
サイズは大きくなりましたが、「SDGs(持続可能な開発目標)」と「ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)」のロゴ、そして「PEACE BOAT」の文字が変わりなく掲げられています。
サイズは大きくなりましたが、「SDGs(持続可能な開発目標)」と「ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)」のロゴ、そして「PEACE BOAT」の文字が変わりなく掲げられています。
大さん橋国際客船ターミナルの屋上広場は、平日の昼間にもかかわらず出発するピースボートをひと目見ようと集まったお見送りの人たちで大賑わいです。
出航式が始まる少し前までぱらついていた小雨が、出発の時刻が近づくにつれて降り止んで、雲間には太陽が。陸と船の両側のマイクから掛け合うように出航式が始まります。式のトップを飾ったのは日本初のマーチングドラムパフォーマンス集団「鼓和-CORE-」による一糸乱れぬ迫力の演奏。
続いて、今回のクルーズの船長を務めるキャプテンカスパルを始め、さまざまなゲストの方からのスピーチや、乗船者とお見送りの人たち全員での記念撮影などが行われました。
出航の瞬間になると、船から一斉に「行ってきます」と声が上がり、陸からも「行ってらっしゃい」と大きな声が応えます。繰り返されるたびに船が少しずつ岸から離れ、船旅の醍醐味といえる緩やかなお見送りの瞬間です。
出航式を中継配信していたピースボートYoutubeチャンネルのコメント欄も、各地からの「涙が止まりません」といった感動の声や、「行ってらっしゃい」の声でいっぱい!
船が遠ざかると、出航式の間は止んでいた雨がまた降り始め、天気も味方する笑顔いっぱいの出航となりました。
「旅で自分を変えたい!」若者たちの希望溢れるスピーチ
横浜の出航式から1日後、神戸港では夜の出航式が始まります。船と岸の距離が近いポートターミナルでは、今から出発する人たちのわくわくした笑顔がなおさらよく見えます。国内国外からの乗船者6名から、元気いっぱいのスピーチが行われ、その中でも強く印象に残ったのは、寺島さん、磯野さん、2人の若者からのお話。
寺島さんは約1年間ピースボートセンターに通う中で、5699枚ものポスターを貼ったのだとか。「これまでは人に心を開くということが少し苦手だった。ピースボートセンターで出会った人に自分を変えてもらった」と話します。寺島さんは、このクルーズで、「たくさん考えて、学んで、遊んで、その中でたくさん変化していきたい」と考えているそう。
ピースボートのクルーズでは、世界各国の人々と出会える寄港地プログラムのみならず、船内でもバラエティ豊かな学習系イベントを興味や好みにあわせて選べるようになっています。「チャレンジしたい」、「成長したい」という気持ちを形にするのにぴったりの環境ですね。
ピースボートのクルーズでは、世界各国の人々と出会える寄港地プログラムのみならず、船内でもバラエティ豊かな学習系イベントを興味や好みにあわせて選べるようになっています。「チャレンジしたい」、「成長したい」という気持ちを形にするのにぴったりの環境ですね。
磯野さんは「自分が何をしたいのか、どうしたいのか、密かに悩んでいた」とスピーチを始め、「どこか居場所がないような気がして、周りの評価を気にして、顔色を伺い、他人と自分を比べて落ち込む。そんな自分が嫌いだった」と話します。
磯野さんの乗船のきっかけは、そんな時にピースボートのポスターを見かけ、「世界を見たら、色々な人々の暮らしや生き方に触れたら、自分の生き方のヒントが見つかるかもしれない」と考えたことなのだそう。「自分をもっと好きになりたい、その一歩として、少しの不安と多くの期待を胸に今日神戸港を出発します」と話し、「行ってきます」と大きく手を振ります。
今から始まる船旅ヘの期待が込められた素敵なスピーチに、お見送りの人たちからも声援が上っていました。
磯野さんの乗船のきっかけは、そんな時にピースボートのポスターを見かけ、「世界を見たら、色々な人々の暮らしや生き方に触れたら、自分の生き方のヒントが見つかるかもしれない」と考えたことなのだそう。「自分をもっと好きになりたい、その一歩として、少しの不安と多くの期待を胸に今日神戸港を出発します」と話し、「行ってきます」と大きく手を振ります。
今から始まる船旅ヘの期待が込められた素敵なスピーチに、お見送りの人たちからも声援が上っていました。
煌めく夜の神戸港から世界一周へ
出航曲が流れ始めると、船と岸の両側で歓声が大きくなります。陽の落ちた港に無数の光となって旅立っていくピースボートの姿はとても美しかったです。
ルポライターの鎌田慧さんは、スピーチで「この船は平和を詰め込んだ船。夢と希望を抱いて今から船は出航します。希望を積んで元気で帰ってきます。元気で待っていてください」と話していました。出発した乗船者たちはこれからどんな人たちに出会い、どんな景色を見るのでしょうか。きっと、かけがえのない経験をして、忘れられない時間を過ごすのでしょう。108日後、たくさんのお土産と一緒に元気に帰ってきてくれるのが今から楽しみですね。
(取材・文/山根那津子 写真/ピースボート)