ピースボート第93回クルーズは、南半球を船でめぐる世界一周の旅。本シリーズ「ピースボートの旅ブログ」では、仲間とともに船上生活や寄港地トリップを楽しんでいる真っ最中のパッセンジャーが、世界に飛び込み、自分の目で見て、こころで感じたあれこれを綴ります。
かねごんこと金子真さん(23)は、大阪出身の関西人。大学進学を機に沖縄に移住し、帰国後は海でライフガードとして働きながら教師を目指すことを決めています。「将来、生徒にやりたいことをやれって言いたいけど、自分自身がしてないことに気づいた。」というかねごんは、大学2年生のときに本で知って書いていた「人生でやりたいこと100のリスト」の一番上にあった「世界一周」をしようと決めました。
人生初の海外旅行で世界一周をすることになったかねごんが、各国での珍道中をレポートします。
地下鉄で警察に身分証の提示を求められる。
ピースボート第93回クルーズが神戸港を出港して早くも3日。一つめの寄港地は日本のお隣、中国の上海である。
人生初の海外旅行は、地下鉄で警察に身分証の提示を求められることから始まった。日本人数人で歩いていたのに、自分だけ。一緒にいた中国出身の方に「ただの観光客だ」と伝えてもらって、冷や汗をかきつつなんとかクリア。
目指すは最初の目的、本場の北京ダックだ。
街並みは意外と日本っぽいというのが率直な感想。なぁ~んだ。と思いながら歩いていると、ある看板が目に入った。
大阪人の血が騒ぎ、思わず二度見。これはおそらくたこ焼きじゃないか?上海のたこ焼き…食べたらいい土産話になるだろう。食べたい!そして、願わくはたこ焼きっぽくない味であってほしい!と、後ろ髪を引かれながらも目的の店を目指す。
迷わず北京ダックを注文し、クリスマスの七面鳥のような姿をした北京ダックが出てくることを楽しみに待つこと数十分。
想像していたのと違う。北京ダックは、切られた状態で出てきた。でも、皮のパリっとした食感と肉の味わい。ねぎとキュウリが濃い味噌だれと上手くマッチしていて、悔しいほど美味しかった。
スーパーには干した鳥が陳列されていたが、いったい誰が購入し、どのように調理するのだろうか。日本のスーパーと違って、上海では肉が多く並んでいた。
スーパーをひやかしたあとは、脳裏に焼き付いて離れない上海版たこ焼き『章魚丸子』との再会を果たしに行くことに。
キャベツ太郎のような見た目と、たこ焼き粉でも小麦粉でもない、もちのような食感。上にかかっていたのはマヨネーズと青のりのみでソースは見当たらない。これが上海スタイルのたこやきなのか。馴染みのあるたこ焼きと章魚丸子の味がかけ離れすぎて、思わず『なんでやねん』という言葉が出た。
豫園(ヨエン)でこれぞ中国!な景色に出会う
やっと上海にいる実感が湧いてきたところで、名所「豫園」を訪れる。中華風の建物と赤い提灯。金色の内装。これぞ中国!
そして、見覚えのあるキャラクターの数々。
店に並ぶ「うずらの丸焼き」にはびびってなかなか手が出せない。
うずらを横目にストローのささった小龍包のような食べ物を食べる。中には蟹の身や肉汁のようなものが入っており、ストローで吸い込み最後に周りの皮を食べた。皮を食べるのが正解かどうか分からないが、外側のプラスチックの容器は底が網目状になっており、うかつに皮を食べると汁がすべてトレイにこぼれるため要注意。
うずらの丸焼きには手を出せなかったが、ストロー小龍包のように、旅に出る以上現地の怪しい食事・飲み物を食べるのが「真の旅人」だと思った。そして、勇気を出して買ったのがこれである。
梨膏露という飲み物だ。砂糖水のように甘く、後味は薬草と柑橘系の風味がした。あ~、美味しくて良かった。と一安心。
有名な景色の近くで自分だけの絶景に出会う
お土産を購入し、上海の夜景を見に外灘へ。歩いていくと美しい西洋風の建物に行き当たった。
圧巻である。怪しく光り輝く建物に魅了させられた自分は、その反対にある上海タワーに目もくれず、建物ばかりを撮り続けた。有名な景色の近くにある自分だけの絶景を発見できる。これは自分で足を運ぶ旅人の特権だなぁと感じた。
テンション高し。ビル高し。シンガポール!
上海を離れて一週間。ピースボート第93回クルーズは、2つ目の寄港地、シンガポールに着いた。12月なのに半袖でも汗をかくような気温。それだけでテンションが上がる。親に託された手編みの麦わら帽子をかぶり、いざシンガポールへ。
第一印象はとにかく高いビルがたくさんある、ということ。圧倒されて、つくりかけのビルがシンガポールのサグラダ・ファミリアに見えた。
マーライオンの方へ歩いていくと、名高いマリーナ・ベイ・サンズが見えた。ビルが高くなるにつれてテンションも高くなる。
目的地は、元祖遠近法の神、「マーライオン」だ。とりあえず定番の遠近法を用いた写真を撮り、夜景の時刻にマーライオンとの再会を誓い、カトン地区へと向かう。
上海と違って、シンガポール感がすぐに味わえただけに、旅はものすごく順調に思えた。
カトン地区でココナッツ地獄に落ちる
次の目的地はカトン地区。「地球の歩き方」で予習した通りに、地下鉄をすいすい乗りこなす。ピースボート第93回クルーズは、各寄港地の町並みが個性的で、ケープタウンやブエノスアイレスなどカラフルな街が多いので、建物めぐりをしようと思って事前に調べていた。すると、シンガポールはカトン地区に特徴的な建物が建っていると書いてあったのだ。
駅に着いた後、メインストリートが見つからなかったので、通りすがりの人に道を聞き、とりあえずカトン地区の端に位置するゲイラン・セライ・マーケットまで歩いた。そして、上海の反省を生かして現地の方おすすめのドリンクを頼むことにした。
白い液体に緑の物体が浮かんでいる謎めいたものをおすすめされた。食べ物なのか飲み物なのか分からない。店のおじさんが『ものすごくうめえぞ!』と言わんばかりの笑顔で勧めてきたので10シンガポールドルで購入。「ほら、うまいだろ!?」と聞かれ、怖すぎて飲めていないのに「Yes!!!!」と答えた。怪しすぎるが覚悟を決め飲んでみると・・・
ココナッツ味の液体と、粉っぽい麺のような物体がストローから口に入ってくる。飲んでようやく思い出したが、自分はココナッツサブレ以外のココナッツは苦手なのだ。結局、旅の相方にドリンクを譲り、市販の水を飲む。だがしかし、暑いためすぐに喉が渇く。
すると、シンガポールでは珍しい自販機を発見した。本音を言うとコーラが飲みたかった。が、一人前の旅人になるため、現地にしかなさそうでうまそうなドリンクを買うことに。
蓋を開けて口に含むと、、、またココナッツの飲み物。
甘いから余計に喉が渇く。気合で飲み干し、少し歩いていると、飲食店のスタッフらしき女性に声をかけられた。「ラクサ」という食べ物を探していると尋ねると、市内の方にしかないと言う。結局、この女性がすすめる店でランチを食べることにした。タイ料理のお店らしい。この店でもまた、スタッフのおすすめを頼むことに。おすすめはシーフードヌードル。
おいしそうな見た目。ランチはスープとドリンクとサラダがついているらしい。最高…。と思いきや、香辛料とセロリの匂いとなんだかよくわからない味付け。辛さと酸っぱさが共存しているような味わい。日本で食べるタイ料理と違う。半分程度でダウンし、申し訳ないが残すことにした。
すると、オーダーのやりとりで仲良くなったスタッフさんがサービスをしてくれた。ケーキだ。これだけは残さず食べねば。と一口。
なんと、まさかのココナッツ味。やられた。これも半分ぐらい食べて、スタッフに全力で謝り、残すことにした。こうしてココナッツとタイ料理に食欲と体力と水分と気力を奪われつつも、マリーナ・ベイ・サンズを目指す。
マーライオンとの再会
マリーナ・ベイ・サンズを観光したり、リトルインディアに弾丸でお土産を買いに行ったりしているうちに夜になり、目の前には美しく光るマリーナ・ベイ・サンズと、マーライオン。それを見ていると、カトンでのココナッツの苦い思い出もなんだかんだ楽しかったなぁなんて思ったり。辛いことも時が経てば良い思い出に変わるってことに気づいたシンガポール。旅は失敗こそが最大の楽しみなのだと感じた。挑戦してよかった。
初海外で世界一周!アジアで学んだことまとめ
・上海・シンガポールと地下鉄が普及しているので、交通手段と移動は問題なく進める。
・日本との異文化を楽しむコツは店員さんのおすすめを食べること。
・お土産は町はずれの田舎で買うと安い。
・ドリンクは、水が一番うまい。
・人生初海外で世界一周すると、外国同士の文化の違いも楽しめる。
・共通したお土産を集められる。(自分は各国のシャツとマグネット)
・日本との異文化を楽しむコツは店員さんのおすすめを食べること。
・お土産は町はずれの田舎で買うと安い。
・ドリンクは、水が一番うまい。
・人生初海外で世界一周すると、外国同士の文化の違いも楽しめる。
・共通したお土産を集められる。(自分は各国のシャツとマグネット)
(取材・写真・文/金子真 編集/浅倉彩)