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ロシアで「SOS子どもの村」を訪れた私が気づいたこと【ピースボートの旅ブログ】
ピースボート第94回クルーズは、北欧を周りながら地球一周する105日間の船旅。「ピースボートの旅ブログ」では、世界一周団体TABIPPOとピースボートのコラボ船上プログラム「TRAVELERS BOAT」のメンバーが、寄港地や船旅の様子を感じたままにお伝えします。
今回ピースボートの旅ブログを更新してくれたのは、今年の3月に大学を卒業したばかりの「こりさ」こと白石りささん(22)。
幼い頃から子どもとかかわる仕事に就きたいとの思いがあり、大学では幼児教育を学んでいたこりささん。海外の教育にも興味があり、デンマークの教育機関の視察に行った際には、日本とデンマークの教育の違いに驚いたと言います。この経験をきっかけに、もっとたくさんの国の子どもたちや異なる価値観の人たちと出会い、自分自身の子ども観を深め視野を広げたいと思ったそうです。そんな中、船内に保育園があり、そして世界各国の子どもたちと関わる機会も得ることのできる世界一周の船、ピースボートの存在を知り乗船することを決めました。
そんな彼女はロシアのサンクトペテルブルグで子どもたちと交流ができるピースボートのオプショナルツアーに参加してきた様子。さて、どんな気づきがあったのでしょうか。

korisa(PB)

 

ロシア有数の港湾都市であるとともに、モスクワに次ぐ第2の都市であるサンクトペテルブルクに船は寄港しました。待ちに待ったロシア!自由に散策したいところですが、ロシア入出国管理規則により自由行動はできず、泣く泣く断念。しかし、ピースボートのオプショナルツアーでならば入国できるということで「SOS子どもの村」で子どもたちと交流できるオプショナルツアーに参加しました。大学時代に児童養護施設で学習ボランティアをしていたことがある私は、SOS子どもの村の子どもたちに会えるのをとても楽しみにしていました。

 

「SOS子どもの村」とは?

まずは、「SOS子供の村」について説明します。
第二次世界大戦後、ヨーロッパには両親や家を失った子どもが溢れていました。当時、医学生だった創設者のヘルマン・グマイナーは、こうした様子にショックを受け「子どもたちがそれぞれの家庭を持たない限りこの問題への解決はない」と考えました。こうした状況を改善し、「家族」を基盤としたアプローチによる子どもの養育を実現するために「SOS子どもの村」を設立しました。現在、子どもと家族への支援を展開する国際NGO「SOS子どもの村」は、世界134の国と地域で活動しています。

SOS CHILDREN’S VILLAGES INTERNATIONAL

 

「SOS子どもの村」の施設はこんな感じだった


港からバスに揺られることおよそ1時間。自然がとっても豊かな場所に「SOS子どもの村」はありました。ここの施設では小舎制という形をとっていて、6歳~12歳の子どもが6、7人と、母親代わりになる養育者(SOSマザー)からなる1つの家族ごとに分かれて生活をしています。

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施設は木造ベースの建物で、中に入るととても温かみのある空間が広がっていました。

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壁には子どもたちの作品も飾ってありました。色使いや筆遣いなど日本とはまた違っていて、とても素敵です。職員さんに施設の説明を聞いた後は、子どもたちが生活している家を見せてもらうことが出来ました。

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子どもたちの住む家はとても立派な一軒家です。中に入ると子どもたちが笑顔で迎えてくれました。日本の児童養護施設では男女が同じ家で生活することはなく、男子寮と女子寮に分かれていることが一般的です。しかし、ここでは部屋は分かれているものの男女が同じ家で生活しており、日本との違いに驚きました。

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部屋の様子も私がこれまで日本で見てきた施設と異なっていました。日本の施設では子どもの生活用品やおもちゃなど物が多くありますが、ここはどの部屋も物が少なくすっきりとしたシンプルな部屋でした。

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部屋を案内してもらう中で、丁寧に額に入れて飾られている子どもの作品をSOSマザーが誇らしげに見せてくれました。その様子からは、子どもたちがSOSマザーから沢山の愛情を受けていることがうかがえました。

 

折り紙やけん玉を使って子どもたちと交流

部屋を見学した後は、けん玉や折り紙、着物、習字などのコーナーに分かれて子どもたちと交流しました。子どもたちはそれぞれに複雑な背景を抱えながらも、それを感じさせないくらいの元気いっぱいな姿で私たちを迎えてくれました。みんな日本文化に興味津々で、どのコーナーも沢山の子どもたちで賑わっていました。

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その中でも、折り紙コーナーには特に多くの子どもたちが集まっていました。一度折り方を伝えると、見本を見ながら自分の力で折ろうとする子どもたちの姿が沢山見られ、子どもの吸収の速さに驚きました。交流をすると言っても、子どもたちの言語がロシア語なので言葉の意味はなかなか理解できません。それでも私たちに伝えようと一生懸命話してくれる子どもたち。言語や文化が違っても、楽しく交流することができたこの経験は、私にとってとても意味のある思い出となりました。

 

子どもたちの生きる強さは世界共通だった

日本の養護施設でも、親の病気や経済的理由、虐待や育児放棄などの様々な理由で家族と暮らせない子どもたちと沢山出会ってきました。しかし、そんな複雑な状況の中で、時には涙を流しながらも必死で現実を受け止め、笑顔を忘れず前向きに生きる子どもたちがいました。そんな子どもたちの姿を、「SOS子どもの村」でも垣間見ることができました。どんな状況下においても、精一杯生きようとする子どもたちの力強さは世界共通なのだと、ここロシアでの交流を通じて知ることができ、帰国後は子どもに関わる仕事に就く私にとって大きな学びと励みになりました。
子どもたちから学ぶことはまだまだ沢山あります。これからも、子どもたちから学ぶ姿勢や、子ども心を忘れずにいこうと思えた1日となりました。
(取材・文・写真/白石りさ 写真提供/川上つかさ 編集/原田ゆみ)